体験型店舗にも注力、あらゆる接点で目指す体験価値向上

(写真右)株式会社プレイド 執行役員 CGO 桑野祐一郎氏
新型コロナウイルス感染症の大打撃を受けてから5年、旅行業界が絶好調だ。2025年4月、観光庁が発表した「旅行・環境消費動向調査2024年 年間値(確報)」によると、2024年の日本人国内旅行消費額は25兆1536億円に上り、過去10年で比較して最大の消費となった。コロナ禍以前の2019年と比較しても14.7%増で、前年比も14.8%増だ。訪日外国人数も伸び続けており、日本政府観光局(JINTO)によると2025年5月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年比21.5%増の369万3300人に上っている。
こうした国内外の旅行者のニーズに応えてきたのが、旅行業界大手のHISだ。そんな同社の掲げるパーパスは“「心躍る」を解き放つ”。2025年7月24日に開催されたプレイドのカンファレンス「X DIVE」に登壇したHISで取締役上席執行役員の澤田秀太氏によると、このパーパスはコロナ禍以降に設定されたものだと言う。
2030年に設立50周年を迎える同社は、旅行業界のベンチャーとして旅行業のほか、航空会社であるスカイマークの立ち上げやハウステンボスなどテーマパークの運営、ホテル業など旅行に付随する様々なビジネスを展開してきた。もちろん本業の旅行業にも力を入れており、直近ではサウジアラビアやボリビアにも拠点を設置するなど、グローバルで旅行ビジネスを担っている。

「旗艦店や新しい店舗は“「心躍る」を解き放つ”というパーパスを表現する場所として、単なる予約窓口ではない体験型の店舗という位置付けです。旅行に関するイベントやセミナーなども提供しています」と澤田氏は説明する。
HISがWebサイトで実現する2つのパーソナライズ
そんなHISのWebサイトには、どのようなコンセプトが込められているのだろうか。
澤田氏によると「主に検索機能を中心とした旅行の総合サイト」。自分の行きたい場所や地域、期間、観光目的などをキーに検索をかけると、パッケージツアーやホテル単体予約、アクティビティなど様々な商品を提案してくれる。

このWebサイトは、プレイドが提供するCXプラットフォーム「KARTE」が導入され、ユーザーのデータの分析と活用の環境が構築されている。澤田氏と共に登壇したプレイド 執行役員 CGO(Chief Growth Officer) 桑野祐一郎氏によると、HISではWeb上での体験価値向上に向け、データを活用したパーソナライズに取り組んでいると言う。
「HIS様のパーソナライズには大きく2種類あります。1つは、ユーザーの行動履歴に応じて関心の高いコンテンツをレコメンドするというもの。もう1つは、課題や悩みを持つユーザーに対し、解決策をタイムリーに提示するというもので、マーケティング領域とカスタマーサポート領域の両方でKARTEを活用していただいております」(桑野氏)

この2つは、Web体験としてはベーシックながらも、実のところしっかり実現できているWebサイトはそれほど多くない。実際にHISの澤田氏も、KARTEの機能やその活用について「非常に良い」と評価している。
もちろん現状にただ満足しているだけではない。HISではより良い顧客体験の実現を目指し、CX推進に力を入れている。
なかでもユニークなのは、店舗でAIを活用し、より優れた顧客体験提供に努めている取り組みだ。この取り組みもプレイドが支援していると言う。