2025年1月9日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は自社主催の新規事業創出プログラム「Spark X」第2章に向け、運営体制や参加制度の見直しを実施したと発表した。Spark Xは2022年に開始し、延べ1,300件超のアイデアと複数の事業化案件を生み出してきたが、今後はさらなる組織のカルチャー変革と新規事業創出の両立を目指し、プログラム全体を進化させる。

運営見直しの背景には、「一部の熱意ある社員が一巡しつつある」「一過性のイベントにとどまらず、組織全体に“挑戦の連鎖”を起こしたい」との課題認識があった。プログラム事務局は従業員視点による徹底分析を実施し、「参加ハードルを下げ関与人口を増やすこと」が必要と判断。新たに「サポーター制度」「シード権」の仕組みを導入した。
「サポーター制度」では、社内の全社員が自分のスキルや経験を活かしてプロジェクトにアドバイスをする「ティーチャー」や、インタビューへの協力者「インタビュイー」として参加できる。この仕組みにより、従来はアイデア起案者か観客の二択だった関与方法が広がり、多分野の社員が新規事業に関わりやすくなった。これにより、一度も挑戦したことのない社員も熱意に触れ、今後のプレイヤー層拡大や社内ネットワークの育成効果も見込まれている。
また新制度の「シード権」は、ファイナリストや選考に漏れたチームに翌年の選考ステップ一部免除を認めるもの。一度の挑戦で終わらせず、習得した知見をもとに再挑戦できる仕組みとして、「Promote」チームがこの制度を活用し特別賞を受賞した。アイデアの連続的な進化と失敗からの学びの最大化が狙いである。
さらに、20代リーダー対象の「Future枠」も2024年度から強化。若手の柔軟な発想力と行動力を生かすため、生成AIワークショップなどでアイデア作成を支援。「エムット不動産」チームはこの枠から特別賞およびオーディエンス賞を受賞し、「快適な部屋探しとシームレスな金融サービス」アイデアで評価された。
事務局チームは自らもかつて挑戦者だった社員や外部人材によって構成され、経験を土台にプログラム改革や運営にあたる。組織管理から脱却し、挑戦経験に基づいた制度設計を進めている。
MUFGは今後もプログラムの期間や構造そのものを見直し、社員参加の「質」と「量」双方を高めることで新規事業創出とカルチャー変革の本格化を目指すとしている。2026年度に向けてさらなるアップデートを予定し、失敗を恐れず挑戦を続ける社員が称賛されるカルチャーの深化を目標とする。
