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女性が新規事業にチャレンジするメリット 執行役員に就任したLIFULL秋庭さんのキャリアを紐解く

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紆余曲折を経て生まれたママの就労支援サービス

椿:優秀賞を受賞した、保育園と保護者をつなぐシステムを再提案したんですか?

秋庭:その事業案から方向性をガラッと変え、家庭内で子供の写真や予定表をシェアするためのアプリにしました。経営会議に提出したところ、いきなり子会社化が決定して。

椿:ついに事業が形になったんですね。

秋庭:一見順調ですが、広告モデルの事業だったため、収益をすぐに創出することができませんでした。事業化する際に「底を尽きたら撤退」と言われていた資本金も約2年でなくなり、会社を閉じようとしていた頃、別の子会社から声がかかったんです。不動産会社向けにWeb広告代理事業を展開するLifull Marketing Partners(現在は売却済み)から「就労先を探すママに広告運用業務を委託できないか」という相談をもらいました。それが現在の「LIFULL FaM」につながっています。

椿:LIFULL FaMはどんな事業なのでしょうか?

秋庭:簡単に言うとママの就労支援事業です。不動産業界を中心に、データ入力やライティング、SNS運用、営業アシスタントなど、幅広い仕事をママに向けて紹介しています。紹介する仕事は基本的に在宅ワークで、勤務時間も自由なため「子育てと仕事の両立サポート」という原初のテーマに立ち戻った形です。

 ちなみにLIFULL FaMの運営元は、2021年に子会社からLIFULL本体へと移りました。現在はママの就労支援事業として、不動産企業向けのアウトソーシング業務委託や地域在住女性のリスキリング支援なども展開しています。

椿:とてもパワフルにキャリアを築いてこられたんですね。

社内の巻き込みにベテランの手腕が光る

椿:紆余曲折のストーリーですが、挫けそうになったことはありますか?

秋庭:約6年ぶりに子会社から事業ごとLIFULL本体へ戻ってきた頃が最も辛かったです。上場基準を持つ会社に戻ったことで、事業の推進以外の仕事にも多くの時間をとられるようになりました。また、離れていた間に本社の環境が変わり、わからないことがあっても頼れる人がいなくて。まさに“浦島太郎状態”でした。売上の低迷も重なり「このままシュリンクするのかな」と考えていた頃の辛さがピークだったかもしれません。椿さんにWebでメンタリングしてもらったことを覚えています。

椿:好転のきっかけを教えてください。

秋庭:子会社からメンバーを連れてきていましたから「彼らを路頭に迷わせてはならぬ」と覚悟を決めました。LIFULLのアセットを活用する方針に切り替え「LIFULL HOME’S」の営業担当から不動産業界のクライアントにひたすら売り込んでもらったところ、売上が徐々に伸び始めたんです。

椿:社内の協力をなかなか得られずに苦労する新規事業担当者が多い中、秋庭さんはどうやって営業を巻き込んだんですか?

秋庭:グループ単位のミーティングに一緒に出て、営業一人ひとりに説明しました。売り込んでくれた担当者には直接感謝を伝えたり、まだの担当者には「最近ニーズある?」とヒアリングしたり。LIFULL HOME’Sの元営業メンバーが異動してきてくれたので、その人脈を活かしつつ協力体制を構築していきました。

 加えて、LIFULL FaMの受注が彼ら個人の営業成績に反映されるよう上層部に働きかけました。インセンティブがなければ人は動きませんから。とは言え、我々の事業に実績がつかないのは困るので、仮想売上という形で事業成果を示し、折り合いをつけました。

椿:そこにメスを入れられるのがベテラン事業責任者の手腕ですね。素晴らしいと思います。

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プレッシャーに打ち勝つ秘訣は「〇〇に立ち返る」

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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