オリンパスは2025年11月7日、イノベーションと組織変革を軸とした新たな経営戦略を発表した。本戦略は、内視鏡医療におけるグローバルリーダーとしての地位確立を目指し、AIやロボティクス、デジタルエコシステムを取り入れた技術開発と、グローバル規模での構造改革を両輪とする内容となっている。

代表執行役 社長兼CEOのボブ・ホワイトは、業界をリードする内視鏡システムを基盤に、ハードウェアを超え、インテリジェントで統合された内視鏡医療の実現を目指すと強調。組織の簡素化や次世代医療技術への投資拡大、グローバルな社会貢献の向上を掲げている。
今後のビジョンとして、AIやロボティクス、クラウド型ソリューションを内視鏡技術に積極的に組み合わせ、疾患の早期発見や医療アウトカムの向上、低侵襲な検査・治療の普及を狙う。また、世界中のケアパスウェイ全体における課題解決を推進し、内視鏡医療の新たなスタンダード構築を目指す。
経営戦略の3本柱は「イノベーションによる成長」「シンプル化」「責任ある行動」。イノベーションではAIやロボティクスによる内視鏡分野のリーダーシップ拡大を目指し、シンプル化と責任ある行動では組織改革とプロセス最適化により持続的なパフォーマンス文化の醸成を進める。
組織変革では、戦略的優先事項に対応したリソース配分と全社的な最適化を推進。2026年3月期から2027年3月期の期間に約240億円のコスト削減、約2,000ポジションの削減を計画している。この見直しにより、組織構造の簡素化、管理範囲の拡大、スピーディーかつ明確な責任体制が図られる。
財務面では2029年3月期までに前年比5%の売上成長、毎年約1%の利益率改善、EPSの年平均成長率10%超、フリーキャッシュフローの継続的改善などの目標を掲げた。イノベーションへの再投資や株主還元、M&Aなどに資本を機動的に運用するとしている。
役員人事についても発表され、キース・ベティガーが新たに消化器内視鏡ソリューション事業責任者に就任。竹内康雄は2026年3月末で代表執行役 会長兼ESGオフィサーを退任し、約40年のキャリアに区切りをつける。
今回の発表は、グローバルメドテック企業への進化を目指すオリンパスの今後の方向性を明確に示すものとなった。
