三井不動産、ChatGPT Enterprise全社員へ導入　「社長AIエージェント」など独自開発

2025/12/23 15:30

　三井不動産は2025年12月23日、生成AIの活用による生産性と付加価値の向上を目指し、10月1日よりChatGPT Enterpriseを全社員約2,000名へ導入したと発表した。あわせて、全社85部門から選出した150名の「AI推進リーダー」が主体となり、現場起点のAI活用を推進している。導入開始から約3か月で500件の「カスタムGPT」が運用されており、今後全社で業務削減時間10％以上を目指す方針である。

　ChatGPT Enterpriseは要約や翻訳、資料やメールの下書き、コード生成、データ整理など、多様な業務を支援する企業向け生成AIである。三井不動産では、部門や業務ごとのルールやマニュアルを組み込んだ「カスタムGPT」をプログラミングなしで作成・共有することが可能となっている。これにより、問い合わせ対応や事務作業の効率化、企画・文書作成の高度化、データ分析支援などに活用し、生産性と付加価値の創出を目指す。

　AI活用を浸透させるため、全社員へのChatGPT Enterprise研修を実施し、述べ1,300名が参加した。AI推進リーダーは実務に即したカスタムGPTの作成やユースケースの発掘、部門内でのAI活用啓蒙や効果測定も担い、現場のノウハウ共有と実装を支えている。例えば、物件情報の参照や要約、経理処理アシスタント、プレスリリース作成補助など、業務特性に合わせてAI活用が進んでいる。

　さらに、三井不動産は内製AI開発環境を構築し、「社長AIエージェント」「DX本部長AIエージェント」「資料自動生成AI」など独自AIプロダクトの開発・運用も開始した。社長AIエージェントは、社長の考え方や経歴などを基に判断支援を行い、経営と現場をつなぐ役割を担う。DX本部長AIエージェントは資料レビューモードなどを持ち、本部員の資料作成時間を平均30％削減するなどの効果が得られている。資料自動生成AIは、スライド構成を入力するだけでPowerPoint資料を自動生成し、編集も容易にする仕組みである。