AI活用で限界を突破。爆速で実験を繰り返すメカニズム
環境変化に適応するための第二の矢が、生成AIの徹底活用だ。福井氏はAIの急激な進化を「脅威ではなく機会」と捉え、事業開発活動を爆速化する「AIネイティブ」なアプローチを推進している。
「AIエージェントの新たなムーアの法則にもあるように、AIが処理できるタスクの長さは爆発的に伸びています。テクノロジーの進化は複雑化をもたらしますが、それを事業化するフェーズにおいては、プロセスの簡易化や自動化へと向かうスパイラルがあり、ここにAIエージェントが不可欠なのです」(福井氏)
イノベーションラボラトリでは、実験を高速・高頻度化するための具体策として、マーケティング領域でのプロンプト活用を仕組み化している。市場規模(3プロンプト)、顧客ニーズ(3プロンプト)、顧客ペインポイント(7プロンプト)の分析などに専用の「Marketing Prompts」を用意。さらに、「特許検討Agent」や「リサーチ・アイデア出しPrompt・Agent」を導入し、業務の圧倒的な効率化を図っている。
福井氏は、Googleの首席エンジニアがClaude Codeを使って長年の課題を1時間で解決したというSNSの投稿を引き合いに出し、「特定のツールに固執するのではなく、現場で利用可能な最高のAIを貪欲に取り入れ、AIを前提としたプロセスを組むことが何より重要だ」と、AIネイティブ組織への変革の重要性を力説した。
事業をグロースさせる「起業参謀」の真価
そして第三のポイントが、事業開発者(イントレプレナー)を支える「起業参謀」の存在である。多くの企業内起業において、社内CEOは過酷な状況に置かれている。
「良質なインプットと幅広い人脈を獲得し、スタートアップのお作法をマスターし、戦略立案から営業、プロダクト方針、資本計画にいたるまでリードする……。そんなオールラウンドな活躍を一人に求めて、『企業に所属しているメリットはどこにあるのか?』と疑問を抱きました」(福井氏)
この孤独なイントレプレナーを救うため、同社は体系だった知見や学び、トレンドを提供する「参謀(メンター)」を配置した。起業家が現場やお客様と向き合う「外向き志向」に全力を注げるよう、参謀は単なる作業代行ではなく、事業価値を高めるために「ときに耳が痛いことも言う」厳しいパートナーとしての役割を担う。
もちろん、この取り組みの成果は数値にも表れている。散漫だった17案件は、参謀の介入により4案件へとポートフォリオが最適化された。さらに、ツーリズム事業において「第9回 ジャパン・ツーリズム・アワード」の経済産業大臣賞を受賞するという快挙を成し遂げた。新規プロジェクトの開始が15件、クローズが11件と、長年滞留していた組織の新陳代謝が加速し始めているのだ。
