AIガバナンス協会(AIGA)は2026年2月16日、会員企業を対象に実施した「『いつの間にか』AIのリスク実態調査」の結果を発表した。本調査は、企業や組織の管理部門が関知しない形で導入・利用される、いわゆる「シャドーAI」のリスク実態に焦点を当てている。

調査では、独自開発・内製AIおよび外部から調達したAIについて「全て把握できている」と回答した企業は、それぞれ49%、53%にとどまった。こうしたAIは導入プロセスに管理部門が関与しやすい傾向があるものの、約半数の企業では一部またはほとんど把握できていないという結果も得られた。管理体制が整備されていても、全社的な網羅には課題が残る状況が示されている。

一方、既存システムへのAI機能追加については64%、外部パートナーにおけるAI利用については87%の企業が「把握に課題がある」と回答した。これらのAIは、サイレントアップデートや契約外での利用など、企業が明示的な導入判断をせずに流入するケースが多い。特に外部パートナーのAI利用は、業務プロセスがブラックボックス化しやすく、最も把握が困難な領域であると指摘された。
従業員による個人利用のAIについても60%の企業が把握に課題を抱えていることが明らかになった。従業員個人の裁量に委ねられたAI利用は、既存のガバナンスでは十分に統制が及ばず、想定外のリスクが生じやすい構造である。
また、調査対象企業の72%がAI利用の社内ルール整備、55%がAIガバナンス組織の設置に取り組んでいる。しかし、これらの制度・組織の整備にもかかわらず、「シャドーAI」とされる領域には、なお大きな把握漏れが存在している。ルールや組織だけではリスクの全体把握が困難で、現場とのギャップが浮き彫りになった。
全体として、AIツールやサービスの多様化・急増が83%の企業で管理の課題として挙がり、従業員のAIリテラシー不足も66%がリスクと感じている。従来のガバナンス手法では対応が難しく、より実効性ある多層的な取組みが求められる段階となった。
AIGAは、今後のAIガバナンスにおいては、すべてのAIを網羅的に管理しようとするのではなく、リスクの集中しやすい領域へリソースを重点投入する戦略的アプローチへの転換が重要であると提言している。
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