「行動データ×生成AI」のポテンシャル
笹原:現在では、オンラインだけでなく、アリーナやスタジアムといったリアルの場もプラットフォームとして多様化していますね。
前田:はい。dポイントを通じて蓄積されるのは、単なる「お得だから買った」という情報ではなく、お客様の購買行動や位置情報、ライフスタイルそのものです。現在1億人の会員様がいらっしゃいますが、このデータを活用することで、金融やエンターテインメントなど様々な領域でサービスを高度化できます。
AIの時代において、エージェンティック(自律的)なサービスを展開する際に絶対に欠かせないのが「データ」です。我々が持つデータを生成AIに連携させることで、お客様に完璧にフィットするエージェントを作ることができます。
実際、私の部下の決済データをすべてAIに読み込ませて実験してみたのですが、ものの見事に彼のプライベートが充実していることが当てられてしまいました。しかし、それくらい深く理解できるからこそ、「あなたがこれを実現するためには、こういった準備が必要です」とエージェントが的確に提案できるようになります。我々はこのデータプラットフォームを開放し、スタートアップの皆様と共にスピーディーに価値を作っていきたいのです。
スタートアップに選ばれる。ドコモが求める機動的な共創
笹原:これまでも、決済基盤やヘルスケア、AIサービスなど、多岐にわたる領域でスタートアップの皆様との共創を進めてきました。前田さんご自身は、こうした取り組みをどう捉えていらっしゃいますか。
前田:私が直接関わった事例だと、次世代モビリティの領域で「JapanTaxi(現:GO)」に出資をさせていただいた件があります。将来、自動運転のロボタクシー時代が来ることを見据え、顧客基盤とどう連携させるかを考えて大きく投資しました。
我々は約200億円を出資したのですが、実はこの時、取締役会では大激論になりました。ちょうどコロナ禍で、「みんなタクシーに乗るのか? 本当に大丈夫なのか?」と。1時間半くらい議論しましたが、最終的にはなんとか通すことができました。
そういった大きな投資も重要ですが、並行して機動的に新しいことをどんどんやっていかなければなりません。プラットフォームの価値は、挑戦者の方々がどんどん乗ってくることで初めて完成し、成長していくものです。そういう意味では、我々の取り組みは「全然足りていない」というのが本音です。皆様に選んでいただけるプレイヤーでありたいと強く思っています。
