「比率が変われば意識が変わる」。景色を変えるアクション
さらに深刻なのは、女性自身の内面にも深く根付いているバイアスだ。
東京都の田川理映子氏は、東京で開催している大規模グローバルカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」で登壇者の5割を女性にする目標を掲げたものの、推薦される候補者が男性ばかりで、自ら手を挙げる女性が極端に少ないという現実に直面したと明かした。
「意識が変わってから比率が変わるのではなく、比率が変わったから意識が変わる。だから、無理やりにでも目に見える現実を変えることが大切だと実感しています」(田川氏)
この「無意識の思い込み」について、綱川氏も台湾政府との会議で出席者のほとんどが女性官僚だったことに衝撃を受けたと明かし、「ダイバーシティ溢れる環境で働いているつもりだったのに、行政の場では男性が当たり前という思い込みがいつの間にか染み付いていた」と振り返った。
「手を挙げる」ハードルの裏にある“情報格差”という盲点
女性の活躍を阻む見えない壁は、本人のマインドセットだけでなく「情報へのアクセス」にも潜んでいるかもしれない。田川氏が明かした「自ら手を挙げる女性が極端に少ない」という先の課題提起に対し、セッション中、会場の参加者からハッとさせられる指摘が投げかけられた。
「そもそも女性は『そういう場に手を挙げていい』という情報を知らなかったり、情報格差があるのではないか」という声だ。
これに対し田川氏は「情報が届いていない、あるいは届き方が違うという発想を今まであまりしたことがなかった」と率直に驚きを示した。「一般的にホームページや組織を経由してフラットに伝わっているつもりでも、どこまで自分事として受け止めるか、積極的にアプローチできるかという点に違いがあるのかもしれない」というのだ。
起業家として数々の舞台に立ってきた綱川氏も、この指摘に深く共感する。
「私もいろんなイベントでお話しする機会をいただきますが、自分で探して『喋りたいです』なんて言ったことは一度もなくて、そもそもそんなことができるという発想すら持ったことがありませんでした。ですから、情報へのアクセスというところも、きっと我々が認識している以上に大きな課題かもしれません」(綱川氏)
均等に発信されているはずの情報であっても、受け手の環境や心理的なハードルによって無意識にフィルターがかかってしまう。これもまた、ダイバーシティを推進する上で見落としてはならない課題と言えるだろう。
