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“2つの統合”が鍵になる大学の未来 

エイミー・ガットマン学長/WGF東京2013レポートレポート第2回

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オンライン教育への挑戦-教室での教育との統合

 つい昨年、ペンシルバニア大学が提供する教育を世界中の人が受けられるように、そして、キャンパスにいる学生がより豊かな教育を受けられるように、新たに大胆な実験を開始した。ムークス(MOOCs: Massive Open Online Courses、非常に多くの人が参加できるインターネット経由の講義)である。

 我々は、スタンフォード大学、プリンストン大学、及びミシガン大学などとコーセラという企業(ムークスを提供する企業)の創立メンバーになった。2012年は、多くのメディアで“ムークスの年”と評された。

 オンライン講座は、学ぶ強い意欲があるが、伝統的なキャンパス教育に参加できない学生にとって、理想的な講座である。ここでとても重要なのは、ペンシルバニア大学の教授陣は、オンライン教材を開発するだけでなく、オンライン教材を教室での教育に統合している、ということである。

 それは何故か。私は、オンライン教育の将来を正確に占うことはできないが、オンライン教育は、クラスでの教育を代替するものではなく、クラスでの教育をより優れたものにする可能性があると考えている。基礎的な内容は教科書のようにオンライン教材で学び、クラスに集まって、より豊かな学びを得るのである。

日本語でもオンライン講座を提供

 2013年9月までに、コーセラで人気を集めている多くの講座が、日本語を含めた複数言語で提供される。講座の幅はとても広く、医療経済、高等数学、ウォートンからは、オペレーションマネジメント、ゲーミフィケーション、更には、ギリシア・ローマ神話、アメリカ文学などである。

 この大胆な「オンライン教育という実験」によって、ベンジャミン・フランクリンの「分野をまたがった学問を統合することによって社会を変えていくという哲学」が、世界中に広げられているのである。昨年一年間だけで、100万人以上の学生がペンシルバニア大学のオンライン講座に登録した。この数は、実に、キャンパスにいる学生の50倍である。

高等教育は“いまだかつてない”速さで変化している

 2か月前、ペンシルバニア大学で、ムークスに関するカンファレンスを開催した。私と一緒にパネルディスカッションに参加したニューヨーク・タイムスのトーマス・フリードマンのコメントが印象的であった。

 「ムークスの現状を、インターネット検索の発展に例えていえば、今はアルタビスタが発明されたぐらいの段階だ。まだグーグルは登場していない。つまり、まだまだ初期段階なのだよ」(注3)

 「アルタビスタ」を覚えている人はどれくらいいるだろうか。グーグルまでは、かなり遠い。オンライン教育の可能性は極めて大きく、まだ多くのことが実現していない。そして、高等教育は、今まで大学関係者が想定していたよりも、はるかに速く変化しているのだ。

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