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メタップス佐藤航陽氏が予想する「資本主義後に来る世界」とは?

特別対談 Metaps佐藤航陽氏✕入山章栄✕佐宗邦威 第1回

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あらゆるものは原理原則に則っている―パターンから類推する意味

入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 いま世界では「クリエイティビティとイノベーション」について、様々な人がそれぞれの立場から様々なことを言っています。しかし、立場によって言葉遣いは異なるものの、実はその本質は同じではないか、というのが本連載の問題意識です。都市論の人は都市論の中で、脳科学の人は脳科学の中で、それぞれの世界で閉じて交流が進まない。そこで私たちが媒介者となって、様々な第一人者とふれ合う中から、レイヤー間の関係性を捉え、事象をマッピングしたいと考えているんです。

佐藤(株式会社メタップス代表取締役社長):
 それは興味深いですね。これまでどんな方にお会いになってきたんですか。

佐宗:(biotope 代表取締役社長)
 ポジティブ心理学の世界的権威であるチクセントミハイ教授から始まって、ウェアラブル端末とビッグデータの第一人者の日立製作所の矢野さん、そしてIDEO代表のトム・ケリー氏などです。佐藤さんで4人目なのですが、実は起業家としては佐藤さんが初めてなんですよ。
 いま世界中が人工知能、ロボット、宇宙事業など、メタップスさんの進出する領域に注目しています。その中で、僕は佐藤さんの著書『未来に先回りする思考法』を読んで衝撃を受け、佐藤さんの持つ「表層の裏で起こっていることの構造の本質」を見抜く力ぜひ知りたいと思ったのです 。とてもお会いできるのを楽しみにしていました。

佐藤:
 それはうれしいです。ありがとうございます。

入山:
 御著書は大変興味深く読ませていただきました。私の専門である経営学との共通性を感じて大コーフンでした(笑)。というのも、現在の経営学ではデータによる科学的な手法を用いるのが一般的なのですが、そこで人間の行動を説明する基盤として「経済学」「心理学」「社会学」の理論が使われます。そして近年では人の合理性を重視する「経済学」に加えて、ハブ型から分散型の社会になってきたことで「社会学」のネットワーク理論が重視されたり、イノベーション・組織学習のための認知の研究や、共感・内省的動機など「心理学」の理論にもより興味が集まっていたりします。それがまさに佐藤さんの著書に書かれていた方向性と似ていて驚きました。

佐藤:
 私も組織を牽引する上で、「人の感情」「経済的合理性」そして「テクノロジー」を理解する重要性を実感しています。それぞれの異なるメカニズムを、包括的に分かっていることが重要だなと。例えば、昔の偉人の言葉を改めて調べてみると、言葉が違うだけでみんな同じ話をしているように思えるんです。それらを突き詰めれば、「シンプルな万物理論」に落とし込めるのではないかと。むしろ近代になって、学問が様々に細分化したことで言葉が違うものになっただけで、根源は同じものだったはずなんですよ。

全ては万物理論に落とし込める © Junko Shimizu

佐宗:
 なるほど。チクセントミハイ教授も「ルネサンス期のアートとテクノロジーは同じものだった」とおっしゃっていました。今我々が恣意的に狭めている分野は、もともとは一つだったんでしょうね。ルネッサンス期の天才と言われるレオナルドダヴィンチも、ミケランジェロも、実はオールラウンダーでしたよね。根源的な考えが、いろいろな分野に同じように適用していただけなんじゃないか、ということですよね。

佐藤:
 そう、原理原則がわかっていれば、政治も経済もほぼ同じに見えると思います。元は1つで、便宜上分けてしまっただけで。だから、1つの分野で得た原理原則を他分野へ用いれば、表面上の言葉は違ってもあらゆるものを理解できるのではないかと。類似するもの、共通パターンから類推するという、アナロジー的な発想ですね。今そこにとても関心があります。

佐藤 航陽株式会社メタップス代表取締役社長 佐藤 航陽 氏
1986年福島県生まれ。早稲田大学法学部中退。大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年に人工知能を活用したアプリ収益化支援プラットフォーム「metaps」を開始。東京、シンガポール、香港、台湾、上海、サンフランシスコ、ソウル、ロンドンの世界8拠点で事業を展開。2014年より決済サービス「SPIKE」を開始。2015年のフォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、2016年フォーブス「Under 30 Asia」に選出。

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