かつてのようにメガ企業は甘くない、連携することも戦略
例えば、ソニーの株は、A証券で買っても、B証券で買っても同じである。株の値付けは取引所が行い、株券の保管は「ほふり」(保管振替制度)がやってくれる。そう考えると、結局のところ証券会社の機能はアプリケーションなのだと松本氏はいう。つまり、アプリケーションに徹するオンライン証券は大きな可能性を持つ。 かつての大手の証券会社はそのことの重大さに気付かず、インターネットの破壊的意味を軽視していたのかもしれない。
99年に太っ腹な大手証券会社は、それまで複雑な手続きが必要だった株の移動をあっさり認めてくれた。大手証券自体がルールを変えてくれたのです。今のFintechの環境は、その頃とは違い状況を変えるのは簡単ではない。銀行がベンチャーに免許を認めてくれるとは考えにくいのです。Fintech第一世代ともいえるオンライン証券と今のベンチャーとは、ゲームのルールは大きく違う。そのことはよく考えた方が良いでしょう。
かつてメガ企業は破壊される側の存在だったが、今はそうではない。松本氏自身は「壊したいという性格」でやってきたが、これからのFintechベンチャーは、そうではない戦い方もあるのだという。既存の主要なプレイヤーとエコシステムを作って一緒にやるのもひとつの戦略だとアドバイスする。そして、「戦う以上は“大勝ち”をめざすべき」と語り講演を終えた。