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利益を生み出すビジネスモデルに共通する「財務構造」

第14回

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コストは「固定費」と「変動費」に分ける

 財務構造の2つ目のビジネス要素は、「コスト構造」です。企業が負担する金銭コストには様々な分類があるかと思いますが、まずはと「固定費」と「変動費」の2つのタイプに分けるのが一般的でしょう(図表9)。

コスト構造の定義とタイプ図表9.コスト構造の定義とタイプ

 コストを固定費と変動費に分けることによって、「損益分岐点分析」が可能となります(図表10)。損益分岐点とは「どれくらい売ればモトがとれるのか?」を見つけるためのもので、収支を計るうえでの基本となります。それは、固定費÷{1-(変動費÷売上高)}によって計算されます。

損益分岐点分析図表10.損益分岐点分析

コストドライバーを明確にする

 コストを固定費と変動費に分けたら、各々の内訳を明確にしていきます(図表11)。会計仕訳が目的ではないので、人件費やマーケティング費用といった既に定義されたリソースやプロセスグループ内の主要な活動単位でよいかと思います。

アカウント(会計)の定義と属性図表11.アカウント(会計)の定義と属性

 コストは「リソースの配置と使用量、プロセスグループ内の活動量」によっておおよそ決定されます。したがって、これらに影響を与える要素である「コストドライバー」を明確にしながら、コスト構造をコントロールしていくことは非常に重要です。

 主要なコストドライバーとして、規模の経済、範囲の経済、リソース活用度、学習や経験曲線、テクノロジー活用度、プロセスグループ間の結合度、ロケーション、品質管理、政府による規制などが挙げられます。個々のビジネスモデルによって、主要なコストドライバーは異なりますが、是非とも参考にされて下さい。

キャッシュフローを忘れてはならない

 これまで、財務構造を構成する収益モデルとコスト構造について触れてきました。単純に考えれば、収益(売上)からコストを差し引いたものが利益ですが、もう1つ忘れてはならないのがキャッシュフローです。なぜならば、価値提案の対価としての金銭の獲得とコストの支払いには時間的なズレがあるからです。

 良い例としてアマゾンのケースを取り上げてみましょう(図表12)。従来の平均的な書店は、顧客からの購買代金の受取りは書籍仕入れ代金の支払いの約2.5か月後です。一方で、アマゾンは購買代金を受け取ってから1か月以上たってから仕入れ代金を支払っています。利益を上げるだけでなく、黒字倒産リスクを軽減するために、キャッシュフローを念頭に置いたビジネスモデル構築を忘れてはいけません。

Amazon.comのキャッシュフロー図表12.Amazon.comのキャッシュフロー

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収益モデルとコスト構造の定義手順

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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