2026年5月12日、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の戦略シンクタンクであるBCGヘンダーソン研究所(BHI)は、将来の世界経済の分岐をテーマとした調査レポート「Beyond Tomorrow: Four Scenarios for the World of 2050」を発表した。本レポートは、100年に及ぶ時系列データと100以上のメガトレンド分析をもとに、AIの進展、地政学的リスク、気候変動を軸とした2050年までの4つのシナリオを提示している。
レポートは、次の4シナリオを詳述している。
1つ目は「AI技術の進展による繁栄」である。このシナリオでは、AIの国際基準化と協調が進み、生産性向上や低炭素エネルギー活用が加速する。世界GDPは年率約5%で成長し、2050年には現在の3倍以上となると推計。労働時間が短縮し、週3~4日勤務が一部地域で一般化する。また、AI支援による技術革新がネットゼロ達成を後押しする。
2つ目は「対立するブロック経済」。国際協調が弱まり、貿易構造が再編成される。貿易規模はGDP比で2024年の57%から約35%に縮小。安全保障や自給自足志向が強まり、防衛支出はGDP比7%と推定される。その結果、GDP成長率は年率約1.8%と最低水準に留まる見通しとなっている。
3つ目は「気候変動対応を軸にした協調」。相次ぐ気象災害を受け、低炭素インフラやエネルギーへの転換が進み、温暖化の進行を産業革命前から約1.8℃増に抑えるシナリオである。炭素市場の拡大や化石燃料依存度の低下が進み、GDPは年率約2.5%で成長すると分析されている。
4つ目は「デジタル・ダーウィニズム」。規制が限定的な中で技術革新が進み、GDP成長率は4%に達する一方、資産格差が拡大。上位1%の富裕層が富の約半分を保有し、労働市場の流動化や民主主義減少、分断の深化が進むとされる。

BHIは、どのシナリオにも共通して経営企画部門が重視すべき「後悔の少ない」5つの行動指針を示している。それは、①事業継続性確保のためのレジリエンス構築、②AI時代を見越した人材戦略の再設計、③デジタル基盤の柔軟性向上、④環境変化への俊敏な対応力強化、⑤企業の社会的役割拡大である。
BHIグローバルリーダーのニコラス・ラングは「今後5年の意思決定が25年先を形作る」と指摘し、多様な未来を見据えた柔軟な意思決定の必要性を強調している。
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