企業での「インフォーマル」な場を作る
入山:
前回記事の後半の議論は、「探索型の人」と「深化型の人」が組織的に連携しているのかどうか、という部分で時間切れとなりました。今回はそのあたりからスタートしましょう。佐宗君は、組織としてどんな環境があれば、連携が進むと思いますか?
佐宗:
たとえば「インフォーマルのネットワーキング(非公式のつながりを作る)」の場を設けるのは、有効なんじゃないかと思いますね。正式な会議では部署の看板を背負ってますから、個人の本音や知識が出にくい。昔は、タバコ部屋や仕事帰りの飲み会などで伝えられていた本音で本当に大事な情報が部署をこえて行き来していましたが、今はそのような場も無くなっています。
非公式で「自分は個人としてこう思う」という本音が交換できると、いい連携ができるようになるのではないでしょうか。
入山:
日本における「フォーマル」「インフォーマル」の使い分けは興味深いですね。それを上手にコントロールできてこそ、日本企業での「ハブ人材」となれる、ということでしょうか。
佐宗:
そう、社内でしっかり成果を上げて組織に対する発言力・影響力を持ちつつ、社外向けには個人として本音で勝負する。そうしないと社外では相手にされない場合も多いですし。ハブ人材は、組織の中と外との境界を行き来している感じはありますね。
入山:
でも、ハブ人材は企業に所属し組織内にとどまっているんですよね。今までの議論のなかで「組織にいることでできることの価値」についての話がありましたが、その面白さってどんなことなんですか。
佐宗:
ある人は「震災で、良識ある大企業の大人たちの凄さを知った」と言っていました。震災時に様々な活動があり、企業としてしてではなく個人で活動していた人も多いと思うんですが、やはり社会的インパクトは大企業が大きかった。非常時に自律的に動く人が各地にいて、そのクリエイティブな働きに感動したと言っていましたね。また、大企業の持っている営業、生産インフラは、本当に大きなインパクトを与えるイノベーションを起こしたい技術を持っているエンジニアには依然としてうまく活用できればものすごい可能性を秘めているようです。以前連載でも上がっていたシリアルイノベーター層の発想ですね。
入山:
普段は活かされていないけれど、いざという時には企業内個人のクリエイティビティが発揮されたんですね。そして組織にいることでレバレッジが効く。危機的な状況で、本来持つ潜在的な意識や能力が活かされる。それが日常的に発揮されるようになれば一番いいですね。