インターネットがもたらした“スーパースター現象”
インターネットによって、経済活動はグローバルな規模での分業が進んできた。発展途上国へオフショア・アウトソーシングの形でソフトウェア開発の発注を行うこともあれば、クラウド・コンピューティングの利用という形で、コンピューティング機能だけを外部から調達することもある。また、個人がフリーランスとして仕事を受託することも容易になってきた。インターネットのおかげで、誰でも最新の知識にアクセスすることができ、イノベーションの中心は巨大企業の中枢から、その周辺にいる主体(エッジ)に移ってきた。
その背景にあるのは、ITによる取引コストの劇的な低下である。取引コストには、取引相手を探したり、契約を締結したり、監督することなど、生産費用に含まれない隠れた費用が含まれる。経済のデジタル化によって、取引のプラットフォームが整備され、業務が標準化されたことで、国境を超えた遠方にいる相手とも容易に取引を行うことができるようになった[1]。『フラット化する世界』で語られた世界である。