アセスメント―自社ビジネスへの影響要因の判定
最初に、前回の復習からスタートしていきましょう。図は、実際のビジネス計画策定の流れに沿って、モチベーションモデルの4つの柱の中の主な要素を配置してみたものです(図1)。前回は、2つの影響要因(外部および内部)についてご説明しました。これは、「環境スキャン」と一般的に呼ばれるプロセスです。今回は、モチベーションモデルの2つ目の柱であるアセスメント(影響要因の判定)についてご説明していくことにします。
まずは、アセスメントに関連する要素の定義と属性を明確にしていきましょう。
アセスメント関連要素の定義と属性
図2は、影響要因とアセスメントの主要な要素と各々の関連性を概念モデルによって表したものです。図の左側は、「外部影響要因(マクロとミクロ要因)」と「内部影響要因(プロダクト革新、顧客インターフェース、オペレーション基盤、財務構造というビジネスモデルの4つの柱)」は影響要因の種類であり、影響を与える組織(持株会社や規制当局など)は影響要因として振る舞うという構造を示しています。
今回のテーマであるアセスメントとは、自社のビジネスに作用する影響要因を判定することであり、「機会、脅威、強み、弱み(SWOT)」はアセスメントの種類であることを図の右側は示しています。さらに、適切なアセスメントをすることにより、重要成功要因(CSFまたはKSF)が特定されます。
次に、これらの要素の定義と属性について見ていきましょう(図3)。「強みと弱み」は内部影響要因に対する判定、「機会と脅威」は外部影響要因に対する判定です。また、「強みと機会」はポジティブな(好ましい)判定、「弱みと脅威」はネガティブな(好ましくない)判定です。
一方、「重要成功要因」とはビジネス計画において焦点を当てるべき重要な領域を説明するものです。たとえば、肥満症という弱みを持っている人にとって、規則的な運動や低コレステロールの食事などは重要成功要因となるでしょう。
SWOTは評価者による主観に大きく依存するため、客観的事実とそれを示唆する数字、その裏付けとなる根拠などを属性の説明として記述することが望まれます。たとえば、「ソーシャルメディアの台頭」という機会に対して「ソーシャルメディアを活用している人口が年平均20%増加」という事実と数字、「圧倒的なブランド力」という強みに対して「経済価値があり、希少で他社による模倣が困難」であることを裏付ける根拠があればベストです。
さて、ビジネス計画の一環としての戦略策定プロセスにおいて、これらのアセスメントから戦略を決定するまでの流れを実戦形式で見ていくことにしましょう。もちろん、これからご説明していく方法が唯一絶対のものではありませんし、いくつかの課題や制約も存在します(これについては、次回検討していきます)。