公益資本主義が示す「会社は誰のものか?」への解
『増補 21世紀の国富論』 人類を生き物として理解した場合の真理への表現として私の好きな言葉がある。『衣食足りて礼節を知る』という言葉だ。衣食に困るような状況では、倫理も論理も全くの意味を持たない。人は戦争などの極限状況になれば、他の動物と同様に理性的な判断を失うだろう。ただ、それほどの大きな社会を壊すほどの人類史の過ちを繰り返さずとも、未来を平和に進めることが出来るような社会が続けられると私は信じている。
原丈人氏の提唱する、「公益資本主義」という考えがある。
一つの会社には株主、経営者、従業員以外にも顧客、取引先、社会など多くのステークホルダー(利害関係者)が存在します。アライアンス・フォーラム財団では、これらをまとめて“カンパニー(社中)”と呼びます。広い意味でのカンパニー(仲間)です。この社中に対し、会社は製品・サービス、雇用、税金、配当、購買機会を提供し、人々の生活をより豊かなものにすることに貢献します。社中はいわば共同体を形成し、その中に技術、人材、信頼などを蓄積していきます。そしてこの蓄積が再投資による会社の持続を確かなものとします。
引用:アライアンス・フォーラム財団 http://www.allianceforum.org/capitalism/
社中への利益分配と、人類社会へ貢献する中長期を見越した再投資の重要性を謳っているこの思想こそ、私はこれからの社会に最も求められる経営思想ではないかと思う。