2020年、その時日本の人事は
4年後の2020年。東京オリンピック開催の年でもあり、それをきっかけに日本が大きく変わるチャンスでもある。もちろん、2020年になれば変わるわけではない。その時変化しているためには、今から準備をしなければならない。
人事のデータ活用については、第2回で紹介した。今から、人事に関するデータを正しい形で保存して蓄積していけば、2020年にはデータを活用した人事が現実的になる。2020年には、本格的な人事データの活用事例がそろうと言ってもいいだろう。もちろんシステムはただの支援ツールであるため、蓄積したデータをどう活用していくかは人間次第だ。今回は、データ活用によって可能になる2020年の人事について紹介する。
人事システムのデータ活用の未来
第2回では、まずは従業員の正確なデータ、変化のデータを蓄積していくことからデータ活用は始まるということを紹介した。システムが常に正確なデータを持っており、それがどのように変化しているのかを蓄積していけば、人材配置や昇給、さらには離職リスクの予測などにもデータを活用できるようになる。
離職リスクとは、従業員が離職する可能性を表し、さらにその人が離職してしまった場合の影響度などを示す。例えば、3年間昇進がない、昇進があったが昇給がわずかなどのデータから、離職リスクを算定する。
人事担当者は、離職リスクが高い社員に対し、リスクを下げるための対応をすることで、優秀な人材の流出を防ぐといった、先手を打った動きができるようになる。
人事にとって、社内のコミュニケーションを活性化し、従業員同士のエンゲージメントを高めることも重要である。人事システムが人同士のコミュニケーションを活性化することはできないが、コミュニケーションを可視化して支援することはできる。
「Workdayヒューマン キャピタル マネジメント(以下、Workday HCM)」の場合、日常的に慣れ親しんでいるSNSのようなUIで、社内のコミュニケーションをすることができる。プロジェクトを登録し、そのプロジェクトの参加者同士で、お互いの貢献について投稿したり、パフォーマンスを評価するといったことができる。これまでは、打ち上げの飲み会のような場所で交わされていたような口頭でのコミュニケーションを可視化できるようになるというわけだ。
現状日本の場合は、従業員同士でデジタルコミュニケーションをする、ということに消極的な傾向があるが、ミレニアル世代が会社の中心となる中で、近いうちにデジタルコミュニケーションがより自然な手段として定着するだろう。
コミュニケーションの可視化は、会社と従業員のエンゲージメント、従業員同士のエンゲージメントの可視化にもつながる。コミュニケーションが活性化し、エンゲージメントが深まれば、会社としてのパワーが強まっていくと考えている。