コラム執筆者紹介:小林 泰紘(株式会社biotope)
Creative Catalyst / Intrapreneurship Enabler
世界26ヶ国を旅した後、株式会社Impact HUB Tokyo 創業メンバーとして、社会的事業を行う起業家支援に従事。その後、顧客中心デザインをベースとしたビジネスコンサルティングファームにて、金融、人材、製造など幅広い業界の大手企業の事業開発やデジタルマーケティング支援、顧客体験(UX)デザインを手掛けた。現在は共創型デザインファームbiotopeにて、企業のR&Dや新規事業開発、未来ビジョン策定を支援する他、クリエイティブな組織への変革支援やイントラプレナーシップ醸成プログラムの企画・開発支援などにも携わる。社内外を巻き込んだ共創型イノベーションプロジェクトのファシリテートや事業創造型人財の育成を軸に、企業の事業創造・組織づくりを伴走する。東京大学経済学部卒。通訳案内士。
オープンイノベーションを加速させる上で不可欠な「共創型人材」や「組織文化」
前回は、AdobeのKickboxを例に、イノベーションが人材や組織文化の変革抜きには語れなくなっており、多くの企業が内側から変化を生み出していく取り組みを本気で加速させていることについて述べた。
だが、こうした「組織の内側からの変革」は、自前主義を加速させるような“自社組織に閉じていく”動きではない。むしろ、社会の複雑性と変化スピードが高まり、1社のみでできることの限界が見えてきている中で、組織内部の人材や文化にテコ入れすることで、他企業や大学、ベンチャー企業など外部ネットワークとの連携を加速させようという取り組みに他ならない。オープンイノベーションを推し進めていくためにはコラボレーション型の人材や組織文化が不可欠だからだ。
オープンイノベーションの考え方は、日本企業にも広がってきているものの、経産省が2016年12月に発表した調査*1によれば、オープンイノベーションの障壁として7割の企業が人材不足を挙げている。成功している企業はごく一部であり、思うように成果につながらず、“オープンイノベーション疲れ”を感じている人も少なくないだろう。
今回のイントラプレナーシップ・カンファレンスでも、共創型人材の重要性は多くのグローバル企業が語っており、だからこそAdobeのような社内イノベータープログラムや組織文化醸成の取り組みに注目が集まっていたと言える。