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ブロックチェーンの可能性と課題

ICOが可能とするベンチャー投資の民主化とは?

ブロックチェーンの可能性と課題:第11回

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分散化社会に対応したICOの評価情報が必要

 ここまで見てきたように、ICOという新しい投資スキームにより、誰でも手軽にスタートアップ企業に投資することができるようになった。また、企業側から見ると、世界中どこにいても資金を調達することができる。また、トークンが重要な役割を果たすような新たなサービスを立ち上げる際には、手軽に一定規模のマネタリーベースを確立することができる。しかし、何に対して投資しているのかが不透明で、投資家の保護という点では課題が多く、また十分に第三者の目で指導を受けないため、サービスが未成熟になったり、詐欺的な行為が横行したりする可能性もあり、デメリットも多い。このような状況に対して、ICOをどのように扱っていけば良いのだろうか。

 規制当局の動きで参考になるのは、カナダのオンタリオ証券取引員会が行ったハッカソンである。このハッカソンではICOに対する証券取引委員会の対策についてアイデア出しと一部実装が行われた。そこで提案されたのは、証券取引委員会がICOに関するプログラム(コード)を自動的に評価するしくみを作ること、そして証券取引員会がその基準に合致するICO案件を登録するようなポータルサイトを作り、中立的な第三者によるキュレーションを行うというものだった*5。確かに、証券取引委員会が評価をしたり、ポータルサイトを作ったりすれば、そこに掲載されているICO案件に関心を持つ投資家にとっては安心感が得られるかもしれない。ただし、世界中どこでも資金調達できるというICOのグローバル性に対して、地域や国で司法管轄が決まる司法当局の取り組みがどの程度有効かはもう少し検討が必要だろう。

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この記事の著者

高木 聡一郎(タカギ ソウイチロウ)

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