デザイナーが「企業内イノベータ」としてできること

講演者 田村 大 氏 IDイノベーション連続セミナー:第2回

[公開日]

[取材・構成] 江口 晋太朗 [編] BizZine編集部

[タグ] スタートアップ デザイン思考 競争戦略

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企業内における“闇研究”の重要性

 成熟企業に属していると、組織の論理や硬直化した承認プロセスなどからイノベーションは生み出しにくいとされ、従来の競合やマーケットを意識したプロダクト開発になりがちだという。そうした開発プロセスから逸脱し、企業内でイノベーションを繰り返し生み出す「シリアル・イノベーター」に田村氏は着目し、研究会を発足。日本のシリアル・イノベーター調査などを行いながら、企業人としてイノベーションを起こすためのプロセスや組織のあり方について研究している。

“シリアル・イノベーターとイントラプレナー(社内起業家)の違いは、イントラプレナーは自分でやり たいことがあり、それを企業の中で実現する人。シリアル・イノベーターは、イノベーションを起こすことそのものを志向する人。大企業のリソースをうまく活用して、どこにイノベーションを起こすのかを探索している。そのためには、常にアマチュアであり続けることが重要で、それによって、これまでにはない発想が生まれやすくなる”(田村氏)

 シリアル・イノベーターは、アイデアを思いついたら、それが最終的にどうエンドユーザーに使われているか、そのディテールまでをイメージできるという。その明確なイメージが同僚たちを惹きつけ、巻き込みながら、それまでになかったイノベーションを生み出す。さらに、シリアル・イノベーターが生み出したイノベーションは、そのインパクトが大きいほど「自分がやった」という人が数多く現れ、誰がやったかわからないくらいに社内の波及力を高めるのだという。自分自身が評価されるのではなく、起こしたイノベーションが企業や社会にどう影響を及ぼしたのかが大事と考えるのだ。

“かつては企業の中で闇研究、つまり業務以外に勝手にやる勝手プロジェクトがあった。黙ってやり続けて、形になった時に大きなインパクトが起こったことも多々あった。そういうことが今はあまりできない企業環境にあるかもしれない。それではシリアル・イノベーターは生まれにくい。企業はそれを憂慮すべきだろう”(田村氏)

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