非連続なイノベーションと連続的なブランディングをどう結びつけるか
一般的に、イノベーションはモノの価格を下げるほうに働く。反対にブランディングは付加価値によってモノの値段を高くしていく。コストやプライス、ブランド価値とイノベーションのバランスとはどう考えるべきなのだろうか。
田村氏は、「非連続的なイノベーションと連続的なブランディングの融合」に新たな可能性があるのではないかと指摘する。イノベーションとブランディングを考えた時、同じカテゴリーの中に新たな競争軸を持ち込むことで生み出した新価値がイノベーションであり、一般に非連続である。もう一つが思い切った付加価値によってプレミアム化を図ることで、こちらはブランディングであり、一般に連続性のあるものだという。
“非連続的なイノベーションと連続的なブランディングをどう結びつけるか。例えば、トヨタのプリウスは燃費を2倍にすることが目標とされていた。これは、開発当初、実現できるテクノロジーがなく、それを生み出すという目標が先にあったからこそできたものでもある。つまり、非連続的なイノベーションによって生み出された新価値であり、一方で従来の価値基準との接続性も保ったことから、結果としてブランディングにつながった”(田村氏)
企業にとってイノベーションを生み出すということは、それまでとは違ったマーケットを生み出すことであり、それは新しいビジネスを作ることとも言えるだろう。そのため、イノベーションを起こす人物は、経営者視点を持つことが重要だと指摘する。