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天才への「敬意」と「降伏」――表裏一体の感情がもたらす思考停止は「GRIT―やりぬく力」で打破する

書評:『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』

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天才礼賛の裏に潜む「降伏」の感情を打ち砕く「GRIT―やりぬく力」とは?

 突然ですが、私が昔から、スポーツ好きの友人に好んでせがむ質問があります。

イチローの凄さ説明してみて

 イチローというひとりの野球選手が偉業を成し続けている事実は、スポーツに疎い私でも当然知るところにあります。なぜこの質問を投げかけるのかというと、彼の天才ぶりについて語る友人の“心酔”が見たいからです。最初こそ「そんな野暮なこと説明させるなよ……」と言いたげな呆れ顔を見せつつ、「通算〇本安打で……」「足がめっちゃ速くて……」「打てて走れて守れて……」と、安打の意味も解さない私に力強くその凄さを語ってくれる友人の表情は徐々に輝き、言葉には熱がこもり始めます。まるで自分自身か身内の自慢でもするかのように。そして彼らは最後に必ずこう言うのです。

イチローは天才だ

 そう、みんな天才が大好きなのです。イチローを含め、天才にまつわるドラマティックな功績や逸話には、語る方と語られる方のいずれをも興奮状態にさせる神秘性のようなものをはらんでいます。そして、人が誰かを「天才」と形容する時、称賛と敬服の意が込められていると同時に、どこか諦観めいた投げやりさも感じられます。生まれながらに才能を持つ者と持たざる者が存在し、天才は前者、凡人は後者に分類されると考える多くの人にとって、「天才」とはすなわち「降参」を意味するのかもしれません。

 この『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』という本は、そんな我々の抱く「天才神話」を、370ページに渡って丁寧に、丁寧に打ち砕いてくれます。カギを握るのは、タイトルにも掲げられている「GRIT」、やり抜く力です。

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才能という思考停止に陥るな──スキルは「才能×努力」、達成は「スキル×努力」

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この記事の著者

渡辺 佳奈(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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