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自動車の未来の鍵「モビリティと都市」──自動運転とライドシェア、都市をリードする人材

FUTURE MOBILITY SUMMIT セミナーレポート Vol.1

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近い未来に実現する“新たな自動車”が解決するべき「4つの課題」

 最初のセッションは、「Innovation Partnership Program(IPP)」のエグゼクティブディレクターを務めるキアン・ゴーハー氏の挨拶からスタートした。IPPはシンギュラリティ大学、デロイト、Xプライズ財団による合弁会社で、Fortune 500企業30社以上の会員コミュニティとして世界のイノベーションを牽引している。

IPP(XPRIZE)

 ゴーハー氏は、自動車の新たな可能性やアイディアについて「SF ではなく、近未来に実現しようというもの」と述べ、「スムーズに自動化され、パーソナライズされたモビリティが、私たちが考えている以上に“早く”到来する。これから10年ほどの間に、これまで100年にわたり自動車業界が経験し得なかった急速な変化を経験することになるだろう」と語る。

 急激な変化は、当然ながら淘汰される企業があり、異業界から参入する企業が増えることも想定される。業界の競争が複雑化し、相手先のブランドで製造する単なる「OEM連携」に留まらず、スタートアップや技術会社、異業種企業などとの連携が不可欠となり、「コラボレーション」が成功のキーワードとなるだろう。そして自動車の変化が、例えば物理的&デジタルのインフラや課金システム、電力システムなど、多くを変えるトリガーとなるのは間違いない。無論、ビジネスモデルが大きく変わる可能性もある。

 しかし、“新たな自動車”の世界を実現する上で、ゴーハー氏は解決すべき「4つの課題」を提示する。

 1つ目は「都市化」の課題である。世界は今も人口が増えつつあり、特に新興国において都市部の人口増加が著しい。2030年までに世界の人口の60%が都市に住むと言われている。過密する都市部で渋滞を緩和する方法を考える必要がある。

 2つ目に挙げるのは「二酸化炭素の排出」だ。ある国では排出される二酸化炭素の70%が自動車に関連する排出といわれており、世界で政治的な圧力も高まる中で早々の解決が求められている。英仏など多くの国では内燃エンジンの生産停止が決まっているが、ガソリンに変わるエネルギー、仕組みの確保が求められている。

 3つ目が、原因の90%が人間のミスによるものといわれている「交通事故の課題」である。そして4つ目が「高齢化」の課題だ。日本のみならず、高齢化は世界的な課題であり、運転の担い手不足を解決する必要がある。

 これらの課題に対し、ゴーハー氏は3つの解決策を示す。

 まず1つ目の解決策は「電動化」である。EV(Elclectronic Viecle:電気自動車)ならば二酸化炭素の削減や安全性の向上などが期待できる。EV の適用は国ごとに異なるものの、2030年までにコスト面でEV 車がガソリン車を抜くという試算も報じられており、それが実現すれば爆発的に普及すると考えられる。

 そして2つ目の解決策は「自動運転」だ。自動運転が普及すれば自分で車を所有するという人が減り、街を走る車の密度が低下すると考えられる。渋滞緩和や高齢化による運転の担い手不足の解消にもつながるだろう。土地の利便性の変化で不動産価格が変わったり、駐車場のスペースが減って転用されたり、様々な変化を起こす可能性も想定される。

 最後に3つ目の解決策は「MaaS(Mobility as a Services)」、モビリティのサービス化である。公共交通まで含めたモビリティのエコシステムを構築することで、多くの課題を解決しようというものだ。例えば、北京の街中では自転車のシェアリングが実施されているが、車の台数やガソリン使用量ともに大きく減ったという。他にも、自動運転を用いた「オンデマンドのデリバリー」や、垂直に発着できるパーソナライズされたヘリコプターを用いた「拠点間のエアバスサービス」など次々と新しいビジネスが生まれているという。長距離では超高速輸送システムである「ハイパーループ」を開発しようとしている企業もあり、一方で「移動しなくてもどこかに行ける」というバーチャルリアリティで交通の課題を解決しようとしている人もいる。

キアン・ゴーハーキアン・ゴーハー氏(Innovation Partnership Program(IPP) エグゼクティブディレクター

 第一セッションでは、まず未来がどのようになっているのか、どうやってつくられているのかをテーマに、ゴーハー氏をファシリテーターとして「都市化とモビリティ」について意見交換を行った。

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