“化石燃料に依存する社会”の終焉を──「パリ協定」を契機に
2015年12月12日、世界に大きな衝撃を与える出来事がパリで起きました。温室効果ガス削減に関する国際的な枠組みを話し合う「気候変動枠組条約締約国会議(COP)」で、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界共通の長期目標を掲げた「パリ協定」が合意されたのです。「京都議定書」をご存知の方は多いと思いますが、「パリ協定」は、この後継にあたります。
パリ協定で掲げられた長期目標は、世界全体の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分下回るように抑えつつ、気候変動のリスク・影響を著しく減少させるために1.5℃以下に抑える努力を継続すること。また、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と吸収量の均衡させることでした。つまり、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにしようというものです。
既に産業革命以前に比べ2012年までに0.85℃の気温上昇が確認されており、もし2℃を超えてしまった場合、地球規模の深刻且つ不可逆的な被害がもたらされる危険性が指摘されています。しかしながら、2017年10月に国連環境計画(UNEP)から発表された報告書では、各国が「パリ協定」のもとで、温室効果ガス削減目標を達成しても、今世紀末には少なくとも3~3.2℃気温上昇する恐れが強いと分析されています。各国政府、自治体、企業は、さらに強力な対策の早急な実行が求められるようになります。「パリ協定」を契機とした一連の動きは、これまで通りに石油や石炭等の化石燃料を大量に消費しながら、経済成長を継続することが困難になったこと、つまり“化石燃料に依存する社会”の終焉に向かう大きな転換を迎えたことを意味しています。