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SDGsは「現在」と「未来の理想」との差分──先行企業と専門家が語る企業での実践

クリエイティブ・シティ・コンソーシアム主催「2017年度クリエイティブミーティング」レポート Vol.1

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 3月1日に開催されたクリエイティブ・シティ・コンソーシアム主催「2017年度クリエイティブミーティング」。冒頭、一般社団法人Japan Innovation Network専務理事の西口尚宏氏の講演では、SDGsの基本知識、国際的な潮流が説明され、ついで2つのパネルディスカッションが行われた。1つ目のパネルディスカッションのテーマは「SDGsについて考える」。西口氏に加え、国連開発計画(UNDP) 駐日代表事務所渉外・広報官の保田由布子氏、事業構想大学院大学学長・教授/宣伝会議取締役の田中里沙氏、富士通株式会社環境・CSR本部CSR・SD戦略統括部長の藤崎壮吾氏が登壇し、事業とSDGsに関して参加者の意見をアプリ「百人会議」で吸い上げながら意見を交わした。西口氏の講演とパネル1の模様をお届けする。

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SDGsは「現在」と「未来の理想」との差分

 Biz/Zineではこれまで何度かSDGsについて取り上げてきた。講演のなかで西口氏は改めてSDGsはイノベーションの機会だと強調した。

 イノベーションのポイントは新しい「価値」である。「価値」は構想と実行の掛け算で生まれるが、実行力に優れた日本の場合、考えるべきは、構想の部分だ。この構想の部分にSDGsが密接に関係するのだ。

 その理由は、SDGsが構想段階の入り口である「課題発見」に役立つからだ。SDGsは日本も含めた193カ国が2030年までに到達しようと決めたゴールである。誰かが予測した未来像ではなく、国際社会が合意したものであり、2030年までのギャップの大きさはSDGsによって明確に示されている(下図の斜線部)。

SDGs図版作成:Japan Innovation Network (無断転載不可)

 そこでギャップを誰がどう担って埋めていくかが問題になるが、その規模は政府開発援助(ODA)ではまったく太刀打ちできない。そのため、投資資金が集まるような、つまり収益の上がるような事業が立ち上がる必要があるという明確なコンセンサスが国際社会でとれている。世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、ESG投資(環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資)を本格的に始めると発表をしており、SDGsに沿った内容で事業を行うことに追い風が吹いている。

 それゆえ、世界中の企業、スタートアップ、政府、NGO、NPOがこの達成に向けて実際に動き出している。

パリにある国際商業会議所(ICC)、これは世界各国の商工会議所の取りまとめ団体ですが、SDGsをBusiness Development Goal、つまり事業の対象として明確に捉えています。特に問題意識の高いスタートアップの人たちは、SDGsに時間を費やしています。

と西口氏は話す。

 SDGsに対して具体的な因果関係を因数分解し、公的セクター、民間セクター、市民セクターがどう役割分担していくかを総合的にデザインすることが必要だと西口氏は語る。それを見越して事業を考えていくことが必要であり、そのために、西口氏は「SHIP(SDGs Holistic Innovation Platform)」というプラットフォームをJINとUNDP(国連開発計画)で共同運営していると紹介した。

西口尚宏西口尚宏氏(一般社団法人Japan Innovation Network専務理事)

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