クロージング・クロストーク第一部は、音部氏によるセッション「属性順位転換と問題の再定義〜パーセプションフローで描く市場創造〜」。P&G・ユニリーバ・資生堂と、名だたる企業でブランドマネジメントを行ってきた音部氏が、独自に考案したマーケティングコミュニケーションの設計方法「パーセプションフロー・モデル」を紹介した。
マーケティングとは、新市場の創造・既存市場の再創造である
マーケティングとは市場創造である。
この定義の確認から、音部氏のセッションはスタートした。
マーケティングについて語られるとき、メインとなるのは広告やマーケティング施策の話といった「どうやって売れたかの方法論」であり、「なぜ売れるのか?」というWHYが軽視されがちなのが現状だ。
では、なぜ物やサービスは売れるのだろうか。
この問いに対し音部氏は、「今まで消費者が気づかなかった、何か良いことが提供され、新たに欲しいという欲求が生まれるため」と答える。つまり「新市場が創造されている」のだ。
新市場の創造という言葉からは、新しい製品カテゴリの創出をイメージしたくなる。しかし音部氏は、P&G時代に担当していたファブリーズの事例を挙げ「市場の創造は、既存市場の再創造でもある」と語った。ファブリーズが発売された年は、1999年。それ以前は存在しなかった製品だが、実は「置くタイプの消臭剤」と入れかわった部分があると考えることもできる。同様に、小売りはAmazonへ、電話とPCはスマートフォンへ、自動車はハイブリッドカーへというように、多くのイノベーションが既存市場を再創造していることに気づくだろう。
音部氏は改めて「マーケティングとは、新市場の創造、そして既存市場の再創造をすることなのです」と強調する。