一社で日本市場全体のAI投資額を上回る投資を行うAmazon
セッションは、モデレーターで株式会社クラウドワークス代表取締役社長 CEOの吉田浩一郎氏氏のこんな言葉から始まった。
日本のAIシステム市場を調査していたら、IDCJapan株式会社の発表で『2021年に約2500億円になる』というものがありました。ところが、AmazonのR&D投資額、これはほとんどがAIだと言われていますが2.5兆円なのですよね。アリババグループでは1兆円です。一社で日本市場の10倍の投資を行ってしまう。そういった状況がすでにあるのですよね。
これに続き、東京大学大学院工学系研究科特任准教授の松尾豊氏からアメリカの動向が紹介された。曰く、現在AIに関してはディープラーニングが注目されているが、ディープラーニング関連の主要な論文はGoogle(2014年に買収したDeepMind発表分を含む)とFacebookから出ている。GoogleではGoogle Brain Team、FacebookではFAIR(Facebook AI Research)という組織を持ち、数百人規模で優秀な研究者、技術者を抱えている。潤沢な予算を人件費に惜しみなく投入しており、初年度から年収5000万円、リーダークラスであれば1億円、研究所の所長であれば数十億円といった報酬を与えるほどである。研究費も惜しみなく使え、優秀な仲間とともに働ける環境で、不満はないがさらに上を目指す者がスタートアップとしてシリコンバレーで起業している。そんな環境で、AIで医療画像を扱うようなスタートアップや顔認証を扱うスタートアップなど、考えられるようなものは一通り出てきており、2015年あたりからそういったスタートアップの買収が急速に進んでいると話す。