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トラリーマンに学ぶ「働き方」

航空自衛隊・伊藤さんが大切にする「良き翻訳者であること」──古典を紐解き、リベラルアーツを伝える理由

第8回対談ゲスト 航空自衛隊 幹部学校 航空研究センター 3等空佐 伊藤大輔(いとう・だいすけ)さん:前編

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 組織にいながら、そのルールに縛られることなく自由に、そして熱い使命を燃やして突き進む会社の虎、すなわち、トラリーマン。レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者の藤野英人氏が、先の見えない時代を突破するイノベーターとして注目している存在だ。実在のトラリーマンを紹介する連載の8人目に登場するのは、航空自衛隊で航空防衛戦略・作戦・ドクトリンの調査研究と普及教育に携わる伊藤大輔さん。自衛隊の組織力を高めるために、どんな役割を担い、何を実現してきたのか? ナビゲーターは、楽天株式会社 楽天大学 学長の仲山進也氏。全2回の前編記事をお届けする。

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「戦略研究の強化」という“諸先輩の思いを結実させた航空研究センター”──自衛隊員の考え方や行動の土台となる「ドクトリン」を開発

仲山進也氏(以下、敬称略):自衛隊にトラリーマンが?!と意外に感じる読者は多いと思います。まず、伊藤さんが何をなさっているのか、聞かせてください。

伊藤大輔氏(以下、敬称略):まず本業としましては、航空研究センターというところで航空自衛隊(以下、空自)に応用できそうな戦略や作戦を研究したり、「ドクトリン」の開発を行っています。

仲山:ドクトリンって何ですか?

伊藤:「ドクトリン」とは、法令や政府方針の範囲内で、よりよく任務を達成するために、我々空自隊員の考え方や行動の土台となる知的基盤のことです。

仲山:伊藤さんの今の業務は、自衛隊にもともとあった機能ではなく、新しく作られたものと聞いたのですが。

伊藤:市ヶ谷の航空幕僚監部に勤務していた頃、組織改編を担当する立場にいました。それまで10年ほど、「空自は研究機能が弱い。航空防衛力整備に貢献できて、教育にも直結できる、戦略や作戦、ドクトリンをしっかり考える部署が必要だ」と諸先輩が思い巡らせてきたことを基に、2014年、航空研究センターを新設することができました。

仲山:それまではなかったんですか。

伊藤:研究機能はあったのですが、いろんな組織に分散していました。それを一つの組織に集約して、かつ必要な機能を新たに増やしたのが、今の航空研究センターです。

仲山:何人くらいの組織ですか?

伊藤:今は50人くらいになりましたね。

仲山:そもそも、僕が伊藤さんと知り合いになったきっかけは、ベストセラー『最高の戦略教科書 孫子』を書かれた中国古典研究家、守屋淳さんなどを通じてですよね。Facebookでちょくちょく伊藤さんをお見かけするようになって。多分、お互いに「変わっている人がいるな」と思っていて(笑)。

伊藤:それが4、5年前でしたよね。

最高の戦略教科書 孫子最高の戦略教科書 孫子

仲山:それでつい最近、伊藤さんが「孫子の兵法」を学べるゲームを自作しているのをFacebookの投稿で知って「面白そう」と思って、「お茶しながら、詳しく話を聞かせてもらえませんか」ってお願いして、お会いしたら話が盛り上がりました。

伊藤:だから、直接会うのは今日が2回目。

仲山:「あ、伊藤さん、明らかにトラリーマンのニオイがする」とわかりました(笑)。それで「トラリーマンの共通点」を確認したらだいたい当てはまっていたので、すぐ「このコーナーで対談しましょう」と(笑)。そもそも、このゲームを作るという発想はどこから? これは本業ですか?

伊藤大輔航空自衛隊 幹部学校 航空研究センター 3等空佐 伊藤大輔(いとう・だいすけ)さん
2001年、第91期一般幹部候補生として入隊、飛行開発実験団(岐阜)の整備小隊長を皮切りに、第6航空団(小松)飛行群本部、航空開発実験集団司令部副官(入間)、南西航空混成団司令部人事係長(那覇)、第8航空団司令部(築城)兼大分地方協力本部援護センター(別府)、航空幕僚監部人事計画課(市ヶ谷)、航空幕僚監部防衛課を経て、現職

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