“賞味期限切れ”となる大企業のビジネスモデル──変革の鍵は「起・承・転・結」タイプ別の人材活用術

ゲスト:オムロン イノベーション推進本部 インキュベーションセンタ長 竹林一(たけばやし・はじめ)さん【後編】

 「組織の中にいながら、既存の枠にとらわれず突き進み、社内外で価値を生み出していく」という新たな働き方として、注目を集めている、“会社員の虎”こと、トラリーマン。その名付け親である、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者の藤野英人氏がトラリーマンの“モデル1号”に認定した楽天大学学長の仲山進也氏だ。当連載では、その仲山氏が気になるトラリーマンたちを訪ねながら、その働き方の極意や共通項を探る。
 連載の15人目に登場するのは、オムロングループで組織改革の実績をあげてきた竹林一さん。大企業の中でも、楽しくやりがいを持って働き続ける極意とは?

[公開日]

[語り手] 竹林 一 仲山 進也 [取材・構成] 宮本 恵理子 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発 トラリーマン

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大企業のビジネスモデルが賞味期限切れする時代に学ぶ、京都の老舗企業のサバイバル戦略

竹林一さん(以下、敬称略):あぶり餅の有名どころといえば、京都の今宮神社にある「A」さんというお店がもう1000年続く老舗なんですね。

 もう1軒、「B」さんというお店もあるのですが、こちらも400年の歴史があるそうです。老舗「A」さんが創業して600年経った頃に、チャレンジャー「B」さんが登場したということですね。「B」さんも400年って立派な老舗ですが。

 面白いのは、チャレンジャーがちょっと甘めに味付けを変えているんです。新規参入する上で、子どもウケする味付けでファミリー層をターゲットにしたわけです。そして呼び込みもする。一方で、老舗のほうは、今でも淡々とおばちゃんが餅を焼いているだけで、呼び込みもせずに、クールな感じ。

 僕、実際、お店の人に聞いてみたんですよ。「1000年続くコツは何ですか」って。すると、おばちゃんはこうおっしゃいました。「相手をちょっと勝たせておくことです」。自分一人勝ちじゃなくて、競合が二つ、三つと出てくることで、市場が活性化して、お客さんが増えていくと。

仲山進也さん(以下、敬称略):カッコいい!

竹林:新規参入組が開拓した子ども達が成長して大人になると、今度は甘さ控えめのあぶり餅が食べたくなるわけでしょう。それで、あぶり餅マーケットという生態系を回しているんです。

仲山:わかります。僕も楽天の創業期から20年でいろんな店舗さんを見てきたんですが、変化が激しい中で安定している「ネットの老舗」の店長さんも「うちはランキングでいつも2位なんです」と言うんです。1位になるのは、新しいお店がオープニングセールで頑張って値段を下げている商品だと。「うちはそれをやらないから、万年2位なんです」と。無理に1位を取りにいこうとは思っていないらしく。ちなみに、1位のお店は入れ替わっていくと。

竹林:面白いですね。あぶり餅の1軒目が誕生した1000年前の暮らしを想像すると、その業態が当時の生活にフィットした革新的発想だったんじゃないかと思うわけです。1000年前というと平安時代で、当時の貴族の乗り物はおそらく牛車です。「あぶり餅30個」とオーダーして、牛がグルっと方向転換し終わる頃にちょうど餅が焼き上がって…。それ、今でいうドライブスルーやん!と(笑)。

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