「適応型リーダーシップ」の8つの原則──鍵となる背後にあるコミュニティへの対応とは?

Adaptive Change !「社会課題解決や組織開発での適応課題・行動変容に対処する」セミナー&ワークショップ講演録:後編

 組織変革のための方法論である「Positive Deviance」をテーマにした本連載。オックスフォード大学 Associate Fellow Richard Pascale氏の来日セミナーの様子をお届けした前編では、技術的な変化と適応型の変化の違い、適応型の変化の必要性と難しさが語られた。本稿(後編)では、賢い変革者として適応課題への取り組みを導くリーダーに必要な8つの原則をお伝えする。誰もが直感に反すると感じる適応課題への取り組みを実施するためのリーダーシップが語られた。

[公開日]

[著] 山田 竜也

[タグ] ワークスタイル 企業戦略 組織変革 組織開発 組織行動 行動変容 Positive Deviance ポジティブデビアンス ポジデビ

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「適応課題」に取り組むためのリーダーシップ、4つの特徴とは?

Richard Pascale氏(オックスフォード大学 Associate Fellow、以下敬称略):前編ではかなり時間をかけて、技術的問題と適応課題の見分け方を説明してきました。これから話すことは直感に反するかもしれません。事前課題の「The Work of Leadership by Ronald A.Heifetz and Donald L. Laurie」は読みましたか? 前編でお話しした「氷の上で車が滑り出した時に、滑って行く方向にハンドルを切る」という事例のように、直感的には理解しにくい部分があったかもしれません。ですが、技術的問題ではなく適応課題に対して取り組む場合には、従来のステレオタイプのリーダーとは4つの異なる点があります。

「適応課題」に取り組むためのリーダーシップ、4つの特徴とは?「適応課題」に取り組むためのリーダーシップ、4つの特徴とは?

Pascale:最初に、リーダーがヒーローである必要はないのです。リーダーが本当に英雄的な存在として有名で周りから尊敬され、その領域の権威であると、皆が答えを求め頼ってしまうからです。

多くの社会変革ではメンバーの巻き込みが重要です。もし、あなたが東大で学位をとり、優秀な専門家として現れると、ヒーローと決めつけられてしまいます。これが、罠なのです。「あぁ、リチャードさま、おいで頂きありがとうございます(神様ありがとう!)どうか栄養不良の問題を解決してください!」と。

ヒーローが来ること自体が罠にはまることになってしまうのです。なぜなら、適応課題においてはヒーローが問題を解決するわけではなく、問題を解決するのはコミュニティだからです。この考え方はポジティブ・ディビアンスの哲学である「インビテーショナル・アプローチ」(コミュニティのメンバーの主体的な参加を促す)と共通の考え方です。リーダーシップとは名詞ではなく動詞なのです。リーダーシップとは動くことであり、コミュニティのすべての階層やメンバーにより、リーダーシップが発揮されなくてはならないのです。

次に、権力の行使です。たとえば、あなたが教育を受けた専門家や組織の代表であった場合、あなたは権力の象徴として設定されてしまいます。もし、東大からマラリアの専門家、マラリアに関してすべてを知っている人が来たとしましょう。技術的な問題であればまさにその人が適切な人です。彼が答えをもっています。彼に答えをきくべきです。技術的な問題であれば権威に頼ることになんら問題はありません。

ただ、もしその専門家がラオスの人々と一緒に活動していかなければならない場合、成功するには殺虫剤が付いている蚊帳を皆に使ってもらうといった適応課題、伝統的な呪術師ではなくて、適切な診断をして薬をもらわなければならないという適応課題の場合、専門家としての権力を行使しても人々の行動を変えることはできません。

また、適応課題の取り組みには性格は関係ありません。どんな性格の人でも解決出来ます。

そして、最後に、“危険なスポーツ”であることを、理解していただかなければなりません。

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