セミナーレポート 組織変革のための方法論「Positive Deviance」

コロナ禍での社会課題解決におけるポジティブデビアンス活用──鍵となる「深いコンパッション」とは?

 「Dr.アービンド信春との対話セッション~世界の今と、コロナ禍にPDアプローチをどう活かせるのか?~」と題した対話セッションが、Positive Deviance Japan(PD Japan)により開催された。本セッションはオンラインで開催され、Positive Deviance(PD)の第一人者であるアービンド・信春氏へのインタビューを通じて、コロナ禍での社会課題解決におけるPDアプローチの適用を中心に議論が進行した。その様子をレポートする。

[公開日]

[講演者] アービンド・シンハル [取材・構成] 山田 竜也 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 企業戦略 行動変容 Positive Deviance ポジティブデビアンス COVID-19

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社会課題解決に“前向きな逸脱者”のやり方を活用するアプローチ

 本オンラインセッションは、Positive Deviance(以下、PD)をテーマに行われた。PDは日本語で“前向きな逸脱者”と訳され、様々な要素が複雑に絡み合う社会課題などに対して、他の人とは違う解決方法を見出し実践する人のことを指す。この“前向きな逸脱者”の行動を、組織の行動変容やソーシャル・イノベーションへ活用するのがPDアプローチだ。

 アービンド・信春氏は「ソーシャル」という言葉に多くの誤解があるとし下記のように言及した。

「ソーシャルという言葉は『社会』と訳すのではなく『人間関係』と訳すべきです」

 PDアプローチは社会課題を解決するソーシャル・イノベーションにおいて、「新たな技術の導入」でも「人材育成という観点」でもなく、そこにいる人たちの「関係性を変えていく」アプローチだから機能すると、アービンド・信春氏は語る。だからこそテクノロジーに対する大きな投資もいらないし、人を育てるために長い時間をかける必要もない。アセットが他の人と変わらない中でも成果を上げている人の行動に着目しその行動を広めるのがPDアプローチの真骨頂だ。

 しかし、PDアプローチの特徴である「人間の関係性を変える」ことこそが難しい。これはお金やテクノロジーでは解決できないし、個々人に対する教育だけでも解決できないものである。だが、そう断じ切ってしまう前に、成功しているPDアプローチの事例を知ることは新たな視点を持つことにつながる。今回のオンラインセッションの中では、そうした事例が数多く紹介された。

 以降、本稿ではその対話の中身をお伝えしていこう。アービンド・信春氏に対して、PD Japanの石原氏が聞き手となりインタビューが行われた。

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