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組織変革のための方法論「Positive Deviance」

ポジティブ・ディビアンスの第一人者が語る、組織とイノベーションにおける「技術的問題」と「適応課題」とは?

Adaptive Change !「社会課題解決や組織開発での適応課題・行動変容に対処する」セミナー&ワークショップ講演録:前編

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 東京大学医学部・医学系研究科 国際地域保健学教室の主催、PD Japanの共催にて、5月23日、東京大学本郷キャンパスでRichard Pascale 氏(オックスフォード大学 Associate Fellow)によるセミナーが開催された。Richard Pascale氏はオックスフォード大学のAssociate Fellowで、以前はスタンフォード大学経営学部の学部長として20年間働き、そのMBAプログラムで最も人気のあるコース「Organizational Survival(持続可能な組織を目指した営利戦略)」を教えていた。また、社会課題解決や行動変容を可能にする方法論「ポジティブ・ディビアンス」の書籍『The Power of Positive Deviance: How Unlikely Innovators Solve the World's Toughest Problems』の共著者の一人でもある。

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なぜ問題解決に一番情熱を注ぐリーダーには、問題解決ができないのか?

 パスカル氏のセッションは「皆さんの仕事の中で何らかの変革・チェンジが多くを占める人は?」という問いかけから始まった(参加者の8割は手を挙げた)。


Richard Pascale氏(オックスフォード大学 Associate Fellow、以下 Pascale):変革プロジェクトでは、目標を達成するために多くの人を巻き込む必要があります。解決したい問題を中心として、解決に必要な人がその周りを囲む様に集まる。そして、最も解決への情熱を持つリーダーが、解決しようという思いが強いあまり、その問題と同じ様に真ん中に入ってしまう。そこから、周りの人を導き変革の合意を取ろうと努力する。これは一見当たり前のことに見えるかもしれない。しかし、ここに間違いがあります。問題を中心にするのは良いが、リーダー自身も周りの人たちの一人として輪の外側から問題に向き合う必要があります。

自分が中心となって解こうとすると(特にプロジェクトが失敗した時に)、問題をそっちのけで、周りを取り囲む人に責任を転嫁してしまうことが起きます。この人は不可能だとネガティブなことばかりいう、この人は文句ばっかり言う、この人たちはいがみ合っている、この人は無関心、だから、問題を解決できないのだと。こうした事態は「問題」をきちんと捉えないことにより起きます。

Pascale:では、どうしたら良いのでしょうか? こうした事態に陥らないように、今日はアインシュタインの考え方を参考に進めていきます。アルバート・アインシュタインは、「世界を救うために1時間与えられたらどうするのかと尋ねられた時、問題を理解して考えを練るのに55分、解決策を実行するのに5分かかるだろう」と答えました。

タイトル

Pascale:今日は問題をとらえるために、以下のような2つの見方をしてもらいます。

  • まず、あたかも問題を見渡すバルコニーから見る様に、問題を外側から内側に向かう方向で眺める。
  • 次に、問題を解決する人の中に自分をおいて、そのシステムに生じている力、人々の関係性を見つめる。

 問題に向き合う際の心構えとして、この二つが今日のアジェンダとしてセットされた。

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