ティール組織の挑戦者・実践者たちが語った、進化し続けるチームが持つ「行動と目的の好循環」とは

第3回(セミナーレポート)

 第1回第2回とティール組織とは何か、ティール組織へと移行するために必要な“土台づくり”について紹介してきた。今回は8月27日に開催された、『実務でつかむ! ティール組織』出版記念イベントの様子をお届けする。
 このイベントでは、著者の吉原史郎氏に加え、嘉村賢州氏と秋山瞬氏が自身の組織での事例を通してティール組織について紹介。また、『ティール組織』の編集者である英治出版の下田理氏が海外でのティール組織の現状について語った。

[公開日]

[講演者] 吉原 史郎 嘉村 賢州 秋山 瞬 下田 理 須子 善彦 [取材・構成] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル ホラクラシー ティール組織

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嘉村賢州氏が “グリーン組織の罠”に陥り決断した、ホラクラシーの導入経緯とは

 自身が経営する組織でティール組織の考えを取り入れている、場とつながりラボhome’s vi代表の嘉村賢州氏は「自分の組織もこれまで“グリーンの罠”にはまっていると思うことが何度かありました」と語る。

 グリーンの罠とは、ルールを設けずメンバーの多様性を尊重し、話し合いを重視するも、ルールが定まっていないために動きが鈍くなってしまうことを指す。

 嘉村氏は「ルールを作らず制限を設けないことと、自由であることは違うと気づきました。前職では18時に退社していた中途入社のスタッフが、home’s viのスタッフたちが自分たちの意思で夜遅くまで働いているところを見て、『18時に帰りづらい』と言っていました。特に勤務時間を規定していないですし、長時間労働を推奨しているわけでもないのですが、どこか居心地が悪いということです。また、ベテランは自由に予算を使い、プロジェクトを立ち上げています。一方、新人も同様に予算を使っていいはずなのですが、どこか使いにくく感じていました。

 もう一つ、自分の組織の作り方では、あらゆることについてとことん話し合うことを重視してきました。それによって、すべてを議題にあげてしまい、決めきれなくなってしまいました。典型的な例として、ある意思決定をしたいスタッフがメールを送ったとき、返事がこない場合、提案者は決めることができず、何も動けなくなってしまう、ということがありました。

 みんなで話し合う文化を作りすぎると、会議でのお墨付きや代表の決裁があれば動けるが、自分で決めて動くことができなくなってしまうということを感じました」と、グリーンの罠に陥っていた過去を語った。

 嘉村氏は「“ホラクラシー”の導入によって、全員で話し合うのではなく、ロールとロールのやりとりで済むようになりました」と語る。

 ホラクラシーとはティール組織の一形態で、「組織の進化する目的」を実現するために必要なロール(役割)を作り、それを常に更新し、組織を最適化していくものという。

 ホラクラシー導入の効果として、嘉村氏は「普通は新しいことをやりたい人がそのことについて説明責任を果たさないと前に進めないのですが、逆に、新しいことをやりたい人ではなく、反対意見が説明責任を果たさない限りは、まずはやってみようという雰囲気になりました。例えば、半年前に入ったスタッフも、『ホールネスロール(全体性ロール)』という人間性を大切にした社内の仕組みづくりを率先して行っています」と語った。

 これを踏まえて、『実務でつかむ! ティール組織』の著者で、日本初のホラクラシー認定ファシリテーターでもある吉原氏は「グリーン組織のときは代表をやっていた嘉村さんは、ホラクラシーの導入によって、どんな役割を担うようになりました?」と質問した。

 これに対して嘉村氏は「代表としての役割では、毎週月曜日の朝2時間のタクティカルミーティング(運営面のベクトル合わせの会議)に出席しています。一人ひとり各ロールが自由に意思決定をして進んでいるので、組織の内容が日々変わっていく。そのため、毎週タクティカルミーティングに参加してそれぞれの意思決定を把握しています。また、『ティール化促進のロール』を担っています。その他には『リードリンク』として、現場の人たちの希望の役割を聞いて割り当てを行っています」と答えた。

 ホラクラシー導入前は、それぞれのメンバーがどんな仕事をしているか共有されていなかったという。それが、ホラクラシーを導入する際に全員の役割を見える化することで連携ができるようになったと話した。

場づくりの専門集団NPO法人場とつながりラボhome’s vi代表理事 嘉村賢州氏場づくりの専門集団NPO法人場とつながりラボhome’s vi代表理事 嘉村賢州氏

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