ティール組織で重要となる“土台づくり”とは?──イノベーションの土壌づくりに繋がった九州電力の事例

日本流ティール組織とは第2回

 前回、5つの組織モデルとティール組織の実務的特徴についてお伝えしました。今回は、経営者がティール組織への移行を志向した場合、ティール組織の“土台づくり”が大切になってくるということと、結果的に、ティール組織の“土台づくり”に繋がっている日本組織での取り組みについて、九州電力株式会社での実践内容をもとにお伝えしていきます。

[公開日]

[著] 吉原 史郎

[タグ] ワークスタイル ホラクラシー ティール組織

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グリーン組織からティール組織への移行にはなぜ“土台づくり”が必要なのか

 まず、“土台づくり”が必要であると感じた背景から記載していきます。当初、フレデリック氏の書籍「Reinventing Organizations(組織の再発明)」を読んだ際に、私は、多くの組織にとって、ボトムアップ志向の組織(5つの組織モデルでは、グリーン組織に経営の重心を置いていると思料)から次世代型組織(ティール組織)までには、「だいぶ距離があるのではないか」と感じました。

 つまり、グリーン組織からティール組織の間の距離が大きいと感じたということです。これは、私が過去にリゾートホテルの経営をボトムアップ志向で行っており、ボトムアップ志向では、超えることができない葛藤について、強く感じていたことも影響していると思います。

 その後、ザッポス(アメリカのEコマース企業)等のティール組織を体現している組織から学んでいく中でも、リゾートホテル経営時代の経験とも繋がり、やはり、大きな距離があることに確信を持つようになってきました。以下では、私が感じた距離感と、現時点で重要だと考えている距離を縮めるための要点(=“土台づくり”の要点)をお伝えしていきます。

 距離感の内容は、次世代型組織への移行の際の変数の多さでした。移行の際に、コラム1で触れたティール組織の3つの要点である、「エボリューショナリーパーパス(進化する目的)」、「自主経営が可能となる仕組みや工夫を有していること」、「ホールネス(個人としての全体性の発揮)」の視点から考えてみると、3軸あることになり、全てを一気に進めるか、段階を踏んで進めていくかを選ぶことからはじまると考えています。

 私は、段階を踏んで進めていくことが、大切であると考えています。背景には、関係する皆さんにとって、健康的なプロセスをつくることを大切にしたいという願いがあります。また、一つひとつ積み重ねていくことの重要性をリゾートホテルの経営再建を通じて、身に染みて感じているからだと思います。では、ティール組織の“土台づくり”として、どのような内容があるのでしょうか。

 ティール組織の“土台づくり”には、以下の3つの要素があります。

  1. 「ホールネス(個人としての全体性の発揮)」に繫がる、「心の奥底の想いに気付き、互いに対話すること」
  2. 「自主経営が可能となる仕組みや工夫を有していること」に繫がる、「目的地図と重要指標の透明化(特に事業上の重要指標の透明化)」
  3. 「エボリューショナリーパーパス(進化する目的)」に繫がる、「行動と目的の循環サイクル(組織の目的と経営者含めたメンバー個人の目的が共鳴していることを感じるための独自の仕組みや工夫)」

 では、それぞれを見ていきましょう。

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