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愚者風リーダーのチーム論

テクノロジーにより自動化が進む時代の「組織」の未来──「探求型」リーダーが生き残る

ゲスト:慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 斉藤 賢爾さん【後編】

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 今回は慶應義塾大学 SFC研究所でデジタル通貨やポスト貨幣経済について研究する斉藤 賢爾氏を迎えた。福島の子供たちのための「アカデミーキャンプ」のことや斉藤さんの子供時代から社会に出るまでの話を聞いた前編に続き、後編では研究者になった経緯や「世の中からお金をなくすべき」と考える理由、リーダーシップとは何かについて語り合った。

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機能や役割ではなく、相手との関係性の中にある“器官なき身体”としてのリーダーシップとは

長尾彰氏(組織開発ファシリテーター、以下敬称略):サイケ(斉藤氏のこと)のラーニング・ヒストリーを聞くと、英語にしても、パーリ語(インド哲学科で習った、仏教の経典などで使われる言語)にしても、プログラミング言語にしても、言葉が重要な要素になっているんですね。

人間は言葉で考えるから、ややもすると世界中の人が日本語で思考しているかのように思ってしまったりするけれど、英語で話しているときは英語で考えるし、話している言葉が違うと自分の人格すらも変わってしまうような感覚がありますよね。

斉藤賢爾氏(以下、敬称略):英語で話すときは少し明るい性格になっているようなケース、ありますね。

長尾:僕はファシリテーターという仕事をしていると、相手によって全く人格が変わっている自分がいて、「自分って、一体なんなんだろう」と思うんです。

斉藤:自分とは何か、というのはまさに仏教の中心テーマみたいなものですね。

最近の機械学習や脳科学なんかの研究を通してだんだん分かってきているのは、「意識はわりと脇役だ」ということです。自由意志があるのかさえ分からない。自動的に動くということのパターンが構築されていて、行動が先に起きているんだけれど、それを意識の方が「自由意志で決めた」と後から意味付けするんだとか。

長尾:「そういうことにしとこう」、みたいなね。

斉藤:そうそう。人と人がコミュニケートするときもそういうパターンが発動しているとすると、相手によって新しい自動的な動きが生まれていて、自分というものが相手によって変わっていくのは当然のこととも考えられます。あたかも「自分」という確固としたものがあって、それがふらついて困る、みたいなことはどうでもいいことかもしれません。

長尾:そうですね。だから僕はリーダーシップの本を書いておきながら、リーダーシップとはなにか、というのもまだよく分からないんです。相手との関係性の中で、「リーダーシップのようなもの」が発動する場合としない場合がある。あるいは、相手がそれをリーダーシップだと認知してくれたら、それがリーダーシップなんじゃないかな、と。だって、僕は誰の前にいてもいつもの僕だけど、「彰さんってリーダーシップありますね」と言う人もいれば、「何もしてくれないですよね」と不満をぶつける人もいますから。

斉藤:リーダーシップというのは、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリが打ち出した「器官なき身体」みたいなものかもしれません。つまり、大事なのはミッションが達成されることで、リーダーシップというのはそれがうまくいくようにやるということなので、器官としてのリーダーとは関係ない、そういうイメージです。

長尾:機能とか役割ではない、ということですよね。

斉藤賢爾斉藤 賢爾さん(慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員)
1993年、コーネル大学より工学修士号(計算機科学)を取得。2000年より慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに在籍。2006年、デジタル通貨の研究で博士号(政策・メディア)を取得。同大学院政策・メディア研究科特任講師等を経て、2014年より同大学SFC研究所上席所員。また、2016年より株式会社ブロックチェーンハブCSO(Chief Science Officer)。2017年より一般社団法人ビヨンドブロックチェーン代表理事。専門はインターネットと社会。慶應義塾大学環境情報学部講師(非常勤)。早稲田大学大学院経営管理研究科講師(非常勤)。一般社団法人アカデミーキャンプ代表理事。一般社団法人自律分散社会フォーラム副代表理事

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