『一万年の旅路』に登場するイロコイ族の歴史から見出した、“平和の守り手”タイプのリーダーが必要な理由

第2回ゲスト:天外塾主催/フローインスティテュート代表 天外 伺朗 氏【後編】

 組織開発ファシリテーターの長尾彰氏が、著書『「完璧なリーダー」は、もういらない。』で提唱する「愚者風リーダーシップ」を体現するゲストと対談する本連載。第2回目は、その著作を通じて長尾氏が大いに学んできた天外伺朗氏を迎え、第1回目のゲスト仲山進也氏(楽天大学 学長)と共に話を伺った。後編では、「今なぜ『愚者風リーダーシップ』が必要なのか?」という問いに、天外氏がインディアンの叡智、日本の歴史的状況などを踏まえて回答する。

[公開日]

[語り手] 天外 伺朗 仲山 進也 長尾 彰 [取材・構成] やつづかえり [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 愚者風リーダーシップ ファシリテーター 存在のマネジメント フロー経営 天外伺朗

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名経営者になる3つのタイプ──「無条件の受容」「大病」「明け渡し」とは?

長尾彰氏(組織開発ファシリテーター、以下敬称略):天外さんがソニーで働いていた時、「あ、こういうことなのかも」と何かを掴んだ経験はありますか?

天外伺朗氏(天外塾主催/フローインスティテュート代表、以下敬称略):長尾さんが琵琶湖一周で掴んだような話は、あまりないね(笑)。

長尾:岡田武史さんが最初にサッカー日本代表の監督になったのが、今の僕とだいたい同じ年齢の41歳の時だそうです。岡田さんは「お前が琵琶湖で感じたようなことを、僕はあの時感じたんだ」と言っていました。

天外:『日本列島祈りの旅1 ― 先住民の叡智を学び、アイヌの英雄シャクシャインの御霊の封印を解く』(ナチュラルスピリット)という本に書いたけど、僕は人生を2回歩んでいるようなもんなんだよね。本名の土井忠利の人生と、ペンネームの天外司朗の人生と。天外伺朗としてインディアンと一緒に色々なことをやったりするというのは、もしかすると長尾さんが琵琶湖を歩いた体験のようなものに近いのかもしれないね。

日本列島祈りの旅1日本列島祈りの旅1 ― 先住民の叡智を学び、アイヌの英雄シャクシャインの御霊の封印を解く』(ナチュラルスピリット)

長尾:そういうハッとするような体験を、どうしたら再現できるかということを、ずっと考えています。

天外:学校をやったらいいじゃない。

長尾:今、イエナプラン教育(ドイツのイエナ大学教育学教授だったペーター・ペーターゼンが同大学の実験校で創始した学校教育)を実践する小学校を長野に作ろうとしているところなんですよ。今年の6月に申請をして、12月に認可が下りれば来年4月に開校します。

天外:もうやろうとしているんだね。

長尾:『どんなあなたでもいいから、あなたのことを受け入れるよ』といった、「無条件の肯定的受容体験」を子どものうちにできればいいんじゃないかと思っていて。

天外:『「教えないから人が育つ」横田秀毅のリーダー学』にも書いたけど、僕の身近で名経営者になる人というのは3つのタイプがあります。

ひとつは、子どもの頃に「無条件の受容」を体験している人。横田さんの場合はおじいちゃんが無条件の受容をしたんです。長尾さんが学校を作るんだったら、長尾さんが無条件の受容をやればいいよね。

もうひとつは「大病」をした人。死に直面すると意識の変容を起こしやすくなって、名経営者になるということです。

3つ目は、「明け渡し」というタイプ。浄土真宗では、字も書けないようなお百姓さんが「ナンマイダブ、ナンマイダブ」と唱えているうちに悟りを開いちゃう、そういう「妙好人(みょうこうにん)」と言われる人が、江戸時代から明治にかけてたくさん出てるんです。アインシュタインに並んで20世紀の偉人と言われた鈴木大拙というお坊さんが、「妙好人には敵わねえ。俺は知識がありすぎてダメだ」と言っている。

要するに、自我が非常に薄いレベルに達していて、阿弥陀如来にすべて明け渡しているわけです。天外塾にも、全く計画的ではないんだけれど、自分の信念に従って行動していたら、偶然が重なってうまくいっちゃう、という人がいます。

長尾彰長尾 彰(ながお あきら)さん / 組織開発ファシリテーター
日本福祉大学卒業。東京学芸大学にて野外教育学を研究。体験学習研修会社、玩具メーカー、人事コンサルタントを経て株式会社ナガオ考務店代表取締役。複数の企業、行政、スポーツチームに所属しながら、20年以上にわたって2,000回を超えるチームビルディングをファシリテーションする。著書『宇宙兄弟 完璧なリーダーは、もういらない』。

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