なぜクックパッドは、レシピ連動調味料サーバー「OiCy Taste」の取り組みを始めたのか?
クックパッドといえば、言うまでもなく日本最大のレシピプラットフォームを運営する企業だが、2018年3月に「世界中の家庭で毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」と定款変更をしたことが物議を醸した。同社のサービスはスマートフォンやPCで使える利便性が好まれ、日本を含め世界68カ国23言語に展開、投稿レシピ数約460万品、月間約9,000万人が利用している。しかし、この先AIが普及するなどの環境変化が起これば、スマホで使えることが便利だとはいえなくなるかもしれない。技術の進歩の中で自分たちも進歩をしなくてはいけないと、同社はイノベーションを起こすことに積極的に取り組んでいる。
カンファレンスでは、クックパッド株式会社の事業開発部Cookpad Venturesグループ長の住朋享氏が、事業内容や社内起業を考える際に必要なことを紹介した。住氏率いるCookpad Venturesで手がけている事業の一つがOiCyである。
OiCyはセンサー等によって、収められた食材を把握する冷蔵庫や、画像認識によって最適な焼き加減を見極めるオーブンなど、調理用家電製品をネットワークに接続し管理可能にするなどといったスマートキッチンを前提としたサービスだ。「Open integration, Cooking with you.」を謳い、人と機器とクックパッドのレシピをつなぐことで、手料理が、人生が、もっと豊かになることを目指している。
現在は、読者がクックパッドに自分で食材の在庫を考えて「豚肉 キャベツ」等と検索窓に入力して食べたいレシピを決めている。一方、OiCyが生み出そうとしているのはこんな世界だ。
AIやIoTが当たり前になった時代に、何を食べたいかをユーザーが入力すると、機器が把握した冷蔵庫内の食材や購入した食材という物理的条件に、健康状態や趣味嗜好、家族構成員といったパーソナライズした情報をかけあわせてクックパッドがレシピを提案。そして家電をコントロールすることで失敗なしに調理できるアシストをしてくれる。もちろん、家電が得たログを元に、より良い食事を提案してくれるようになるのだ。