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A.T.カーニー梅澤氏らが語る、人とテクノロジーの関係からみる2020年以降の社会課題との向き合い方

LivingTechカンファレンス2018 セミナレポート Vol.2

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本格的な少子高齢化を迎える2020年以降、世界の中で日本が目指すポジションは?

坂根工博氏(国土交通省 大臣官房審議官(総合政策局担当)、以下敬称略):2020年には団塊の世代が70代に突入し、これから日本は本格的に少子高齢化が進みます。また、IoTなどの技術革新も起きています。これらによって、人々の暮らし方や働き方にも大きな変化がでることが予想されています。

日本の大きな転機となるであろう2020年から2025年に焦点をあて、各界で活躍される3名と議論を進めたいと思います。まずは、2020年以降の日本社会の本質的な課題をどう捉えて活動しているかをお教えいただけますでしょうか。

松本勝氏(VISITS Technologies CEO/Founder、以下敬称略):私の考える日本社会の課題とは「ゆでガエル」現象です。私は日本が先進国だと思い育ってきましたが、幼少期と現在を比べると徐々に日本のプレゼンスは落ちてきています。この事実に気づいている人が人口の何%いるでしょうか。多くの方は危機感を抱いておらず、気が付くと日本が貧乏な国になってしまっているのではないかと危惧しています。この「ゆでガエル」現象を打開するには、クリエイティブなイノベーションを起こす必要があると考えています。

そこでVISITS Technology(以下、VISITS)では、イノベーションはどんな組み合わせで起こるのかを確率分布で数式化し、創造性や目利き力、アイデア自体の価値を定量化する取り組みを行っています。

Lin Li氏(DiDiモビリティジャパン 取締役副社長、Didi Chuxing 北アジア担当ジェネラルマネージャー、以下敬称略):高齢化社会と人材不足が深刻だと感じています。例えば、日本のタクシードライバーの平均年齢は60歳です。これほどの高齢化は、中国はもとより他の国でも考えられないことで、労働力不足が非常に顕著だと驚きました。私の所属している会社、DiDiモビリティジャパン(以下、DiDi)は、テクノロジーを使ったモビリティサービスを提供しています。中国ではヒートマップやAIの発注システムを導入してタクシー配車効率を10〜15%改善し、より少ない労働力で顧客の満足度をあげることに成功しました。日本のすばらしいサービスクオリティはテクノロジーだけで補填されないため、引き続き人の介在が必要だと思います。しかし、日本においても「AIによる生産性向上」の余地はあると感じています。

梅澤高明氏(A.T.カーニー 日本法人会長、以下敬称略):「文化産業立国、観光立国、都市の魅力度向上」がキーワードだと考えています。ご存知の通り、これからの世界は中国とアメリカがリーダーになっていくことがほぼ既定路線となっています。日本は、中規模で成熟しており、豊かな文化がある国です。これからの日本には、米中とは違うポジショニング、つまり文化を軸にした魅力的な国作りが大事な時期にきていると思っています。また、インバウンド観光として過去3年で訪日外国人の数が3.4倍、昨年には2870万人になりました。

新・観光立国論を提唱するデービッド・アトキンソン氏は、「気候・自然・文化・食事」が高いレベルで揃っていれば観光立国として成功しやすいと言っています。そして、文化や食において、都市の集積力はとても重要です。私は現在、建築家やデザイナー、アスリートなどマルチファンクショナルな30〜40代が集まって、どうすれば東京が世界で最も魅力的なグローバル都市になれるのかを検討する「NeXTOKYOプロジェクト」に携わっています。これまでにNeXTOKYOの活動として、クリエイティブ産業における就労ビザの緩和、風営法のダンス規制撤廃による夜間経済の発展や、イノベーション拠点の創造を実現してきました。

坂根:松本さん、Linさんからはテクノロジーが人の行動や考え方を変えるのではないか、人の行動や考え方にテクノロジーは大きな影響をあたえるのではないかとお話いただきました。また、梅澤さんからは別の切り口で、都市や地域の魅力作りに注力する必要があることを伺いました。いずれにしても、人の成長が最大のコンテンツということは3名に共通していたように思います。

左から坂根氏、松本氏、Lin氏、梅澤氏左から坂根氏、松本氏、Lin氏、梅澤氏

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