既存顧客の体験が“まだ見ぬ顧客”の行動を左右する。CXデータの計測と分析は急務
講演後半では、クアルトリクスがマネジメントする4つのエクスペリエンス「顧客」「従業員」「製品」「ブランド」を切り口に、各事例が語られた。
顧客がサービスから離れる最も大きい理由は、「企業から受ける扱いに対して不満を持っていること」だと花田氏。さらに、顧客が心動かされる瞬間(Moment of Truth)は、最初に物を見た瞬間だと言われてきたが、今や「モバイルによる口コミやソーシャルの情報で刺激を受けたとき、消費者は購入の可否を決めている」へ進化している。
この口コミやソーシャルの情報は、言わずもがな既存顧客の体験から生まれるものだ。つまり、CXが起点となり他の顧客の心をも動かしているのである。顧客の体験は、あらゆるタッチポイントでビジネスに影響を与えていることが分かるだろう。
そこで花田氏が「まず企業が取り組むべきこと」として挙げるのは、「顧客とのタッチポイントすべてでNPS®などの指標でエクスペリエンスを計測し、定点計測を行うこと」。そして、「CXの変化による売上げの影響、改善への投資の判断、それらを数値化して意志決定すること」の2点だ。
クアルトリクスでは、OデータとXデータを相関分析し、スコア化。価格や手数料など目が行きやすい要素ではなく、例えばサポート電話の待ち時間など、気づきにくい要素を抽出し、スコア改善に繋がるペインポイントを導き出している。
しかし、CX改善にも投資の限度があります。コールセンターへの投資が厳しいと判断したある企業は、次のステップでCXの本質を考え、サポートサイトの改善に取り組みました。結果、サポートサイトの認知や分かりやすさの改善、チャットボットの導入などを行い、CXを改善したのです
あわせて花田氏は、エクスペリエンスマネジメントは継続性が重要と主張。ソフトウェアを使って計数を管理し、対策が必要な際は、可視化された要素が体験へどのような影響を及ぼしているかを追い、改善活動を続けることを説いた。