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サッカーもビジネスも“いい指導者”の育成が肝心──プロ経営者須原氏が取り組むJFAの組織変革

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日本サッカー協会と事業会社に共通する、持続する組織に必要なものとは?

──須原さんはどのような経緯で日本サッカー協会(JFA)の専務理事に就かれたのでしょうか。

須原清貴氏(以下、敬称略):20年程前まではサッカーの経験があったわけでも、サッカーに興味があったわけでもありませんでした。あれだけ日本中が熱狂した2002年の日韓ワールドカップすら、テレビ観戦もしていません。元々、大学を卒業して住友商事に入り、ハーバードビジネススクールでMBAを取得してボストンコンサルティンググループに転職、その後はGABAやキンコーズ・ジャパン、ドミノ・ピザ ジャパンなどで経営に携わってきました。

 ずっとサッカーと無縁なキャリアを送ってきたのですが、息子が通っていたサッカークラブの練習を見学しているうちにコーチとして関わるようになりました。クラブの監督の勧めもあり、4級審判員の資格を取得します。私は審判に向いていたのか、東京都サッカー協会に評価していただくようになり、次第にJFAの審判委員会のお手伝いもするようになりました。そして、審判委員会の小川佳実委員長が筑波大学の先輩でもある田嶋幸三会長に私を紹介し、ご縁があって2016年3月に理事、2018年の3月には専務理事に就任させていただきました。

──事業会社の経営者からJFAの専務理事に移られ、当初は環境の違いに戸惑うことはあったのでしょうか。

須原:それまでずっと一般の事業会社で働いてきたので、就任前は“公益財団法人”という特殊性をすごく気にしていました。しかし、公益財団法人と事業会社では、違うところよりも似ているところの方が多いということが分かりました。なので、思っていたほど違和感はなかったですね。

──公益財団法人と事業会社で異なる点と似ている点を教えてください。

須原:まず一番の違いは、KPIが曖昧か明確かという点です。事業会社は売上や利益といった明確な数値目標がありますよね。一方JFAの場合、例えば昨年のワールドカップで男子日本代表がベスト16でしたよね。もしこれがベスト8となっても、評価されるのは監督や選手であってJFAではありません。逆に予選敗退だった場合、責任を問われるのはJFAです。何を達成したら協会が評価されるのか、協会は何を達成すべきなのかが曖昧なのです。これは、スポーツ統括団体であるJFAの宿命であり、事業会社と最も異なる点です。

 一方、組織を持続させるには理念・ビジョンが不可欠だという点は、公益財団法人も事業会社も同じだと感じました。社会に対してなぜ存在しているかという大義名分を掲げ、社会への貢献の見返りとして利益を頂戴し、評価されて株価につながるというサイクルを持つ企業の方が、持続性がありますよね。そのサイクルがない企業はあっという間に社会から見捨てられます。それは公益財団法人も同じで、KPIの有無よりもはるかに重要だと考えています。

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