時代の軸を超えた意義の問い直し──人文科学のサイエンティスト集団ReD Associatesの道とは

ゲスト:ReD Associates創業者、同社ニューヨーク支社ディレクター クリスチャン・マスビアウ氏【後編】

 本稿では、BIOTOPE佐宗氏による『センスメイキング』著者、クリスチャン・マスビアウ氏へのインタビューを前後編にてお届けする。後編では、マスビアウ氏率いるReD Associatesと佐宗氏のBIOTOPEの共通点、短期で成果を求められる経営者が、長期的な時間軸での“根源的な問い”を行なう方法、などを聞いた。

[公開日]

[語り手] クリスチャン・マスビアウ 佐宗 邦威 [取材・構成] フェリックス清香 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 ビジョン センスメイキング 洞察 人文科学

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ReD AssociatesとBIOTOPEの共通点は、時代を超えた企業の存在意義の問い直し

株式会社BIOTOPE CEO / Chief Strategic Designer 佐宗邦威氏(以下、敬称略):マスビアウさんが取り組まれていることとBIOTOPEでやっていることには、多くの共通点があります。もっとも共通しているのは、“時代の軸を超えて意義を問い直していく”ことです。

 大きくは二つの取り組みがあります。一つは、時間軸を現在から過去に遡るということです。具体的には、創業から長い時間軸を有する老舗企業の活動の歴史を、時代背景を含めて見直し、意義を問い直すことです。もう一つは、時間軸を過去から現在、そして未来に向けることです。具体的には、長期的な社会的・技術的な変化の観点から歴史と未来の両方を俯瞰していきます。

 この二つの時間軸で考えることで、時代が変化しても変わらない“不動点”を見い出すことができます。そしてこのような活動の重要性が増しているのは、企業の存在意義自体を問い直すことが必要になっているからなんだと思います。

 ただ、こういった長期的な時間軸での取り組みは、日常の経営実務とはかけ離れているので、当たり前のように実践するのは簡単ではありません。

 そこで我々は、企業のミッションの意義を様々な視点から問いかけていくために、簡単に答えを出さないでじっくり考えるような「スペース」を定期的に設けるということを提唱しています。現代の企業には、古代ギリシアの都市国家ポリスで、市民が集い哲学などを語り合った広場である「アゴラ」のような場所が必要だと思うのす。クリスチャンさんは経営陣にどのような提案をされているのですか?

ReD Associates 創業者 / ニューヨーク支社ディレクター クリスチャン・マスビアウ氏(以下、敬称略):企業によってどのようなアプローチを採るかは異なりますが、大事な議論は、深く時間をかけて考える必要がありますね。もし簡単に答えを出すとしたら、それは単なる「消費」です。

 存在意義の問い直しのような活動が必要になるのは、企業が大きな危機に陥っている場合です。具体的には「今何が起こっていて、何が自分たちを危機に陥れているのだろうか?」という問いかけを行なう場合です。

 私が好きなのは、前者の危機に陥っている大企業のようなパターンです。シリコンバレー流だと、「早めに失敗して全てを壊せ!」と言いますが、様々なものを壊した結果として何が起こったのか。深くじっくりと洞察して考えることが必要な場面が、ビジネスにおいて多くあるということに気づかなければいけません。シリコンバレーの住人たちも、すでに気づいて変え始めています。

 どちらにしても、ReD Associatesでは、クライアント企業の経営者には、じっくりと時間をかけて考える“きっかけづくり”をするように心がけています。

バックナンバー