IT部門の多くは、一般的に社内でコスト・センターと見なされ、ビジネス価値を高める組織だとは認識されていない。ガートナーが2019年5月に日本のIT部門の部長職以上を対象に実施したサーベイにおいて、「ITリーダー自身は、経営トップがIT部門をどのように位置付けていると考えているか」と尋ねたところ、企業の経営トップの9割がIT部門をビジネスのバックアップ組織 (サポート役) であるとみており、ビジネスの拡大に不可欠な存在 (リード役) とはみていないことが判明した。
一方で、少数ではあるものの、経営トップがIT部門をビジネス拡大に不可欠な組織 (リード役) とみている企業も存在した。
また、「ビジネスのサポート役である」と回答した企業の内訳を見ると、「なくてはならない重要な存在」と回答した割合が49%に上る一方で、「バックアップはするが、その貢献度は高いとは言えない」が19%、「コスト・センターと見なされ、コスト削減要求が多い」が22%に上っている。
企業のCIOやIT部門が、構築する、あるいは構築したITの価値を表現するに当たって使用できるものとして、ガートナーは「IT投資のビジネス価値ツリー」というフレームワークを提示し、その使用法を解説してる (図2参照)。IT投資のビジネス価値ツリーは、複数ある経営目標に対し、ITがどのように貢献しているかを主要パフォーマンス指標 (KPI) を間に置いて可視化するツール。