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失敗しない新規事業開発の進め方

新規事業開発の成否を分ける“エグゼキューション能力”──事業を推進するためのKPI設定・可視化・改善

第4回

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事業プランの実行を妨げる“3つの要因”とは?

 第2回でもご説明した通り、新規事業と既存事業では前提となる考え方が大きく異なり、新規事業開発の現場においては大きく3つの課題が頻出します。1つ目が「事業プランやアイデアが無い/出てこない」という課題、2つ目が「事業プランやアイデアを適切に評価/検証できない」という課題、そして3つ目が「評価/検証した事業プランを上手く実行・推進できない」という課題です。

 新規事業開発というと、その事業アイデアのユニークさや戦略の美しさなどに気を取られがちですが、実は新規事業開発の現場において最も頻出する課題であり、かつ取り組む企業が頭を抱えているのが、実行=エグゼキューションに関する課題です。以前は「組織は戦略に従う」と言われる時代でしたが、近年では、変化の早い市場や顧客のニーズに対応するために高いエグゼキューション能力を備えた組織の重要性が高まり、組織のエグゼキューション能力によって取り得る戦略オプションが規定/制約されると言っても過言ではない時代になりました。実行して具現化することができない戦略やアイデアは、何の価値も生みません。そのため、エグゼキューション能力が高い企業ほど様々な戦略やアイデアを採用することができますし、柔軟に方向性の転換(ピボット)を行う事もできるので、自ずと不確実性の高い新規事業開発における成功確率が高まるということでもあります。

 この「評価/検証した事業プランを上手く実行・推進できない」という課題を引き起こす要因を分類すると、下記の表に記載している通り、大きく3つに分かれます。

評価/検証した事業プランを上手く実行・推進できない要因と解決アプローチ評価/検証した事業プランを上手く実行・推進できない要因と解決アプローチ

 1つ目の要因は、事業プランを実行する上での指針となるKPIが適切に設計・設定されていないケースです。このケースにおいては、取り組む事業の目的やゴールから逆算したマイルストーンとなるKPIを事前に設計し、目標として設定しておくことが重要です。

 2つ目の要因は、適切なKPIが設計できていたとしても、それらを正しく計測・可視化して事業リーダーやプロジェクトメンバーが把握することができる状態になっていないケースです。このケースにおいては、KPI毎に計測・可視化するための方法を設計し、技術/ツールの活用やシステム化/オペレーションを徹底することで、適切な計測環境を整えることが必要になります。

 そして3つ目の要因は、正しくKPIを計測・可視化できていたとしても、そのKPIを改善・向上させるための仮説や検証するためのアプローチを検討したり、それを適切に実施したりするためのノウハウやリソースが無いケースです。前回も解説した「検証のためのリソースや体制の確保」が重要であるのと同様に、この実行フェーズにおいても必要十分なノウハウやリソースを保有する必要があります。新規事業開発においては、どれだけ事前に検証活動を重ねていたとしても、いざ本格的な事業化に向けて実行していくフェーズに入ると、必ず想定外の結果や反応に次々と遭遇することになります。それを乗り越えるための仮説検証や改善アプローチを実施する活動は、延々と続いてくことになるのです。

 いずれも詳細は後述しますが、新規事業開発においては組織のエグゼキューション能力によって成否が左右される部分が大きく、この課題をクリアできなければ、仮に事業化したとしてもその先にある事業成長や収益化には程遠いといえます。

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この記事の著者

北嶋 貴朗(キタジマ タカアキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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