不十分な顧客の可視化が“びっくりチャーン”を招く
小林泰己氏(ベルフェイス株式会社、以下敬称略):今回はカスタマーサクセスの基本となる「顧客の可視化」をテーマに話し合っていきます。ベルフェイスでも約1年前からヘルススコアをつけることで顧客の可視化を進めており、カスタマーサクセス部門ではヘルススコアを参考にして、解約阻止のコンタクトやアップセルに向けて動いています。
HiCustomerさんは、自社の顧客を可視化するとともに、顧客の可視化をサポートするSaaSも提供されていますよね。「顧客の可視化」をどのように捉え、サービスを利用するお客様にはどのように説明しているのでしょうか。
高橋歩氏(HiCustomer株式会社、以下敬称略):私たちがサービスを提供しているお客様には「不完全な顧客の可視化が不幸な結果を招く」と説明しています。
小林:顧客の可視化が不完全だと何が起きるのでしょうか。
高橋:たとえば、お二人は前触れのない解約である“びっくりチャーン”に出くわしたことはありませんか。問い合わせや質問に回答していると、顧客とコミュニケーションがとれているように感じ、「不満や不明点があれば連絡してくるはず。何もないということは問題がないのだろう」と考えてしまいがちですよね。しかしあるとき急に解約されてしまう。それが“びっくりチャーン”です。解約の予兆を察知して対応するためにも、問い合わせの有無に関わらず、顧客の状態を可視化して適切なアクションをする必要があるのです。
小林:まさにSaaSの初期にありがちなことですね。どうやってお客様を可視化すればいいのでしょうか。
高橋:企業やサービスによって最適な方法は異なりますが、ひとつは
- 顧客はプロダクト・サービスを使ってくれているか
- 顧客とコミュニケーションがとれているか
- 顧客の成功が達成できているか
という3つの観点での可視化を勧めています。
また、HiCustomerでは、顧客のライフサイクルをベースに“ステージ”別に顧客を分類していきます。たとえば、導入期・活用期・契約更新期とステージを分けておき、ステージごとに顧客が適切な状態かどうかを評価します。これにより、ステージに合わせた施策を顧客に提案したり、ステージに即した機能が使われていなければ顧客に連絡をとったりすることができます。たとえ顧客の可視化ができたとしても、それに対応したアクションがなければ意味がないですからね。
小林:「顧客の可視化」は次のアクションのために必要ですよね。