複数の企業からユーザーが集まる「コミュニティ」の作り方
小林泰己氏(ベルフェイス株式会社、以下敬称略):マルケトさんは12の分科会を行っているということでしたね。ABEJAさんもスターコミュニティで勉強会やワークショップを行っているとのことでした。それぞれ課題が近いお客様をお呼びするということですが、具体的にはどのような軸で区切っているのでしょうか。マルケトさんはホリゾンタルSaaS(業種に関係なく、特定の業務に使われるSaaS)、ABEJAさんはバーティカルSaaS(特定の業種に使われるSaaS)なので、お客様を分ける軸に違いがあると思うのですが。
森山裕之氏(アドビ システムズ株式会社 マルケト事業部、以下敬称略):ITやHRなど業種で区切ったものもあれば、インサイドセールス、カスタマーサクセス、採用マーケといった業務による区分けものもありますし、「フェミケト」という女性向けのものもあります。お客様と話していて、2~3個共通する課題があると感じたときに分科会を作っているので、軸を決めているわけではありません。
小林:ABEJAさんはいかがですか。
丸田絃心氏(株式会社ABEJA、以下敬称略):弊社のInsight for Retailというサービスの対象は小売業ですが、小売業といってもアパレルや雑貨、商業施設、自動車などと考えるとけっこう幅広いんです。その中で役割が同じで業種が違う人たち、たとえば店舗の運営を担当する人や商品の見せ方を工夫する人など、特定の施策を担当する職種ごとに集まることがあります。この場合は業種の違いがあるからこそ新しい発見があり、競合しにくいため情報提供を惜しまないという良さはありますね。
森山:完全に競合する企業同士が同じ会で顔を合わせることもあるのでしょうか。
丸田:参加する企業の要望に応じて調整しますが、競合する企業がどちらも出席する会もあります。ただ、競合を嫌がらない企業も多いですね。