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事業を加速させる「契約マネジメント」

契約マネジメントが日本企業の「部署間連携」「管理体制」「属人化」の課題を解決する

第2回

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 前回は、日本で盛り上がりを見せる様々なリーガルテックを分野別にご紹介し、その中でも中心となる「契約マネジメント」の概要について触れました。契約のない企業はありません。契約書は案件や事業の説明書であり、契約は事業そのものです。したがって、各企業が抱える契約上の問題・課題は、そのまま事業へと影響します。  今回は、契約書に限らず、契約交渉や契約後の履行・契約にまつわる業務など、“契約”に軸を置きながらも、法務にとどまらない幅広い部門の業務をカバーする「契約マネジメント」が、日本企業における契約業務の課題をどのように解決するのかについて解説します。

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日本企業が抱える“契約”にまつわる3つの課題

 そもそも、日本企業は契約にどのような問題を抱えているのでしょうか。企業で散見される契約の課題を3つご紹介しますが、いずれも法務だけの問題ではなく、営業や購買、開発、人事といった部門にも関わってくるものです。

部署間の連携が取りにくい

 企業規模が大きくなるほど、部署単位での縦割り管理になっていきます。これは、企業の成長を考えると自然な流れではあります。しかし、誰が何をやっているのか部署間で把握しづらかったり、コミュニケーションが取りづらかったりといった問題が生じます。それは契約に関しても同様です。1つのプロジェクトに様々な部署・担当者が関わる際は、プロジェクト単位で経緯や進捗を管理するのが理想です。しかし、各部署は自分に振られたタスクをこなすのみで、部署間の連携が上手く取れていないケースが散見されます。

 これは、“契約”というプロジェクトでも同じことがいえます。「契約書のやり取り」だけでみても、事業部側は、どんな契約条件で交渉すればよいかわからず、法務部側は、渡された契約書がどんな案件のもので、どういった経緯で作成されているのかわからず充実したレビューができない。部署間のコミュニケーションが取りにくいことによって起きる契約上の問題が様々な形で発生しているのではないでしょうか。

契約書の管理体制が万全でない

 あなたの勤めている企業の契約書管理はどのような体制になっていますか? よくあるのは、締結済みの契約書をPDFにはしているものの、Excelで管理台帳を作って必要な情報を登録し、そこに契約書データベースのURLを貼り付ける、というものです。これなら必要な時に契約書を探し出すことはできますが、Excel台帳を手動で更新し続けなければならず、メンテナンスの手間やヒューマンエラーのリスクと常に隣り合わせです。

 また、どのような経緯で契約が成立したのか、どんな要因で契約書が修正されたのかといった、交渉・審査の状況をあとから振り返ろうと思っても、メールやチャットツール、Word内のコメントに散らばっていたり、そもそも口頭ベースで行われているため経緯自体が残っていなかったりすることもあります。

業務が属人化してしまう

 各業務の担当者は、日常業務から経験や知見を得ています。しかし、これが他人と共有される機会はそう多くはありません。それぞれの業務の担当者に経験と知見が溜まっていくだけで、部署内の他の人や関係する他部署の人たちはそれを享受することができないわけです。経験の浅い若手はそのような知見を得るのが難しく活躍しにくい環境になってしまいます。

 また、様々な社員に有用な知見が情報として公開されていないことにより、「知見を持っている人に対して異なる相談者から何度も同じような質問が来る」といった非効率な状態も生じてしまいます。

 最初に日本企業における契約の課題を3点ご紹介しましたが、「契約マネジメント」はそれらをどのように解消していくものなのでしょうか。次のページから解説していきます。

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この記事の著者

酒井 貴徳(サカイ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

須貝 崇史(スガイ タカシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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