MaaS業界2020年のトレンド
MaaSの市場規模は2030年に欧米中で合計150兆円、日本では6兆円を超えると試算されている。配車やシェアパーキング、自転車シェア等、単体のシェアリングサービスはすでに定着が進すむものの、MaaSではサービスの統合段階に応じて情報、決済、事業、政策、目的地の順に高度なサービス統合が提唱されている。サービスの統合が最も進んでいるのは大手鉄道会社を中心としたMaaSプロジェクトであり、事業者間や行政が連携した6つの大型統合プロジェクトが2019年までに一般公開されている。2020年はこれら既存統合型サービスの拡大に加え、カテゴリーを横断した事業間連携による統合型サービスの誕生が進むと想定されているのだという。
注目カテゴリー
統合型
経路検索から決済・予約までを一気通貫するサービスが各エリアで複数誕生しており、マルチモーダルなMaaSアプリが国内でも実現しつつある。たとえばJR東日本、東急電鉄、伊豆箱根周辺の事業者が連携して実証実験中のIzukoは、目的地までの移動手段と目的地到着後に必要なレンタカー、路線バス、レンタサイクル、観光施設、宿泊施設までの情報を包括したサービスになっており、今後は各サービスでエリア拡大や連携サービス増加による利便性向上が期待されている。
マップ・ナビゲーション
移動がシームレスにつながれるにあたり、移動情報も分断されることない提供が期待されている。注目されるのは、インターネットで乗換検索した際に表示される公共交通機関の時刻表や運行情報を表示するオープンフォーマット、GTFS*1の活用。GTFSは主要交通手段以外では登録が進まず、また地方部においては主要交通機関でも登録が進んでいない現状になっており、2020年度は従来のバス、電車、飛行機に留まらず、あらゆる交通機関でのGTFS活用が拡大し、同時に地方部での活用も加速していくと想定されているもだという。
*1:General Transit Feed Specification(GTFS):公共交通機関の時刻表と地理的情報に関するオープンフォーマット。 GTFSの共通フォーマットで情報公開されることで、複数の公共交通機関の情報を利用する経路検索などの開発が容易になり、MaaSでの活用が注目されている。時刻表のみを表示する「静的なGTFS」と、リアルタイムの運行情報を表示する「GTFSリアルタイム」 がある。