「私がやる」圧倒的な使命感と挑戦の原動力
森久:本日は各社の制度を活用して起業・事業化に挑む4名にお集まりいただきました。まずは「応募のきっかけ」から伺います。皆様は最初から「起業して世界を変えるぞ!」というような熱い志をお持ちだったのでしょうか?
美濃(積水化学):私の場合は、長年温めてきたアイデアがあり、いつかチャンスがあれば世に出したいと考えておりました。そんな中、今回「C.O.B.U.アクセラレーター」という社内起業制度が立ち上がり、私にとってはまさに「渡りに船」という状況でした。自分としては応募しないという選択肢は最初からなく、満を持しての挑戦でしたね。社内の人間からも特に意外な印象は持たれず、「美濃さんなら応募するだろう」と見られていたようです。
山下(ReCute):私は少し違って、最初は起業したいとはまったく思っていませんでした。新卒でNTTコミュニケーションズに入社したのも、大企業で安定して働きながら、副業で好きな事業をやれればいいなという程度の考えだったんです。ただ、研修段階で、私が「女性で若いから」という理由で会食に呼ばれて優遇されるようなことがあり、ひどく嫌な思いをしました。そのときに「絶対に見返してやるぞ」という反骨精神が芽生えたのが一つの原動力です。また、私自身が強烈にこのサービスを欲している「N1」の対象者だったため、この事業を世に出すための手段として、社内制度に乗り、VCから調達してスピンアウトする道を選びました。
岩田(リコー):私は、2019年にTRIBUSの前身となる制度が立ち上がったときに少しエントリーしたのですが、そのときはやりたいことが固まっていませんでした。しかし、同僚が1年先に通過して事業化を進めているのを見て、私も本気でやってみたいと思うようになりました。ちょうどコロナ禍になり、私が以前から業務外で開発を進めていた聴覚障がい者向けの支援ツールがないと、当事者の方々がリモート会議に参加できないという現実を目の当たりにしました。そこで、これを事業化して彼らが働き続けられる環境を守ろうと決意しました。選考が進み、勝ち残っていく中で、「これは私がやるべきことなのではないか」という強烈な使命を感じながら、ピッチを行うことで社内チームとして選ばれました。
小西(JR東日本):皆さんのような最初からの熱い使命感や反骨精神を聞くと本当に素晴らしいなと思います。私は「社長になりたい」とか「世の中を変えたい」という志は起案当時はまったくありませんでした。私は駅員から始まり、山手線の車掌、京浜東北線の運転手と、鉄道現場から歩んできた人間です。そんな私ですが、育休明けのタイミングで「小西さんは子育てが大変そうだから、補佐的な仕事でいいよ」と言われてしまい、“マミートラック”に陥ってしまいました。キャリアが停滞しているのに相談相手もおらず、「こんなサービスがあったらいいな」という私個人の悩みからON1000に応募したのがきっかけです。しかし、プログラムの伴走支援を受けながらペーパープロトタイプで検証を進めるうちに、この悩みは日本社会における女性活躍推進という根深い課題なのだと視座が上がり、「自分のキャリアを賭けて解くべき領域だ」と覚悟が決まっていきました。
